49歳・会社員の村井保さん(仮名)。アベノミクス相場で儲けた500万円を、“スワップポイント”ねらいで高金利通貨・トルコリラに投じました。初めは順調に金利収入を得ていたものの、トルコリラの急落によって結果的に300万円超の損失を被ることになりました。村井さんは、どこで何を間違えたのでしょうか。本稿では、テクニカル分析の解説サイト『テクニカルブック』を運営する株式会社アドバンの代表取締役・田中勇輝氏が、高金利通貨の取り引きを行う際に押さえておきたいポイントについて解説します。
毎年100万円の金利収入「確定」のはずが…“高金利・トルコリラ”のトレードで〈損失300万円〉の49歳・会社員、失敗の原因は? (※写真はイメージです/PIXTA)

年間100万円の金利収入に「これは“勝ち確”かも」

建設業に勤める49歳の村井保さん(仮名)はアベノミクスをきっかけに株式投資を始め、500万円の元手を5年ほどで2倍の1,000万円にまで増やしたです。そんな村井さんが過去振り返る最大の失敗経験は、「高金利通貨」というキャッチフレーズに惹かれて始めた、FXのトルコリラ/円のトレードでした。

 

2017年当時のトルコリラ/円は約30円の水準で、1万通貨ロングする(1万トルコリラを円で買う)と1ヵ月で3,000円近くのスワップポイント(金利収入)を得ることができました。年間にすると3万円以上のスワップポイントを得られる計算で、レバレッジをかけなくても約10%の金利を得られる計算です。

 

しかも、少し前には60円ほどの水準だったところから30円近くまで大きく下落しており、「一国の通貨なのに、さすがに下がりすぎ。低レバだったら損はしないでしょ」という感覚もありました。そこで、村井さんは500万円をFX口座に入金、トルコリラ円を30万通貨ロングしたのです。1ヵ月で10万円近い金利が得られる計算で、年間では100万円以上「ただ持っておくだけ」でラクに副収入が得られるという算段でした。

 

相場の反発局面をねらってポジションを保有したこともあり、数ヵ月間は為替相場は横ばい~緩やかな上昇。金利収入も想定通り順調に積み上がっていき、村井さんは「これは“勝ち確”かも」と思ったそうです。

 

ところが、10月に入ると急に下落の勢いが強まり30円割れ。11月も下げは止まらず、史上最安値も更新して28円台へと突入します。「金利収入は入っているし、我慢すれば何とかなるだろう」と村井さんは放置を決め込んでいましたが、この下落は1年以上続き、金利収入をはるかに超えて損失は膨らんでいきました。

 

その上、2018年8月にはトルコショックによる大暴落まで起こり、20円を大きく割り込んだところでとうとう撤退を決断。このとき、金利収入は100万円超になっていましたが、急激なトルコリラ安によって売買損失は400万円以上、合算すると300万円の損失を被ってしまいました。

 

結局、村井さんはアベノミクスで得た利益の半分以上を失い、資産は1,000万円割れ。安易に始めた高金利通貨トレードは、最悪の結末で幕を閉じたのでした。

失敗原因は「金利」ばかりみていたこと

とくにFXを始めたての人にとって、新興国の高金利通貨というのは魅力的にみえるようです。その理由は、ポジションを保有するだけで“確実に”金利収入が得られるからです。しかし、村井さんが失敗したトルコリラの場合、国の経済が非常に不安定な状態で、トルコリラ自体の価値が大きく下がり続けていたという事情がありました。

 

高金利通貨は、たしかにポジションを保有しているだけで金利収入を得られます。しかし、いくら金利収入が得られたとしても、通貨の価値がそれ以上に下がってしまえば、単純にポジションを保有しているだけでは、トータルでは損失になる訳です。

 

スワップポイントだけをみて「何となくお得そうだから」という軽い気持ちで投資をしてしまったのが、村井さんの失敗原因だったといえるでしょう。