FXを始めたての人でも、「トレンドライン」という言葉は聞いたことがあるでしょう。チャートにトレンドラインを引く手法は、プロトレーダーも活用する有効なトレード手法のひとつです。今回は、トレンドラインがなぜ有効なのか、多くの初心者トレーダーが誤るトレンドラインの引き方について、株式会社ソーシャルインベストメントの清水一喜氏が解説します。
FX初心者は間違えがち…テクニカル分析の基本「トレンドライン」の“やってはいけない使い方”【FXのプロが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

初心者トレーダーほど「自分に都合のいいライン」を引きがち

FX初心者でもトレンドラインを用いてトレードをしている人は多くいます。しかし、トレンドラインを使ってトレードをしている初心者トレーダーのうち、安定的に利益を出し続けているトレーダーはほんの一握りでしょう。ほとんどのトレーダーはプロトレーダーと同じようにトレンドラインを引いていますが、特に初心者トレーダーの場合、自分の願望に基づいたトレンドラインを引いてしまっています。

 

安定して利益を出しているトレーダーは、相場を客観的に判断したうえでトレンドラインを引いています。対して、収益が安定しないトレーダーはチャートに「こうなって欲しい。こうなれば自分の利益につながる」という願望を抱いてしまいます。トレンドラインに願望を込めてしまうと、相場参加者がどの価格帯に注目しているのかを見失ってしまいかねません。

 

それは先述したとおり、トレンドラインが機能する理由は、トレンド形成時に相場参加者の心理状態が同じ方向感を持ちやすいからです。トレンドラインは相場参加者の心理をしっかりと組み込んで引くことができれば大きな武器となりますが、自分に都合のいいトレンドラインを引いてしまうとまったく機能しない重荷になってしまいます。

「やらないこと」を明確にするとトレンドラインが激変する

トレンドラインを引くにあたり、行ってはいけないことは「主観的なラインにこだわること」です。自分に都合よくラインを引く初心者トレーダーが収益を残せないことからわかるように、FXでは常に客観性が求められます。相場を客観的に判断することによって、市場参加者が注目する価格帯が手に取るようにわかります。

 

市場参加者から注目される価格帯を点で残し、注目度の高い点を結びつけたものがトレンドラインとなるのです。注目度の高いトレンドラインはプロトレーダーになればなるほど同じようなところにラインを引いています。

 

初心者トレーダーが少しでもプロに近づくためには、主観的なトレンドラインを引かないことに注力するべきです。初心者トレーダーは特に損失が出ているときほど周りが見えなくなる傾向があります。周りが見えていないトレーダーは自分に好都合なトレンドラインしか引かず、トレンドの本質を理解しようとする行動がありません。

 

これからFXで安定した利益を出していきたいと本気で考えているのであれば、定期的に自分のトレードを振り返り、市場参加者の心理を踏まえたうえでトレンドラインを引いているかを考える時間を作るとよいでしょう。

 

 

清水 一喜

株式会社ソーシャルインベストメント

執行役員