地方でも増えるタワマン
さて、上京後に成功して夢のタワマンを手に入れたAさん夫婦ですが、地方でもタワマンが増えているのをご存じでしょうか。東京・大阪・名古屋といった三大都市圏ではマンションの建設用地はすでに少なくなっており、地方の駅のすぐそば等でもタワマン開発はどんどん進んでいる状況です。
地方都市では超高層ビルや高層マンションはまだまだ数が少ないために珍しさもあって、購入する人がいるのでしょう。また、(夜景はどうかわかりませんが)眺望がよくリッチな暮らしをイメージできるタワマンは地方でも人気があるのかもしれません。
さらに、前述のように地方銀行は住宅ローンの審査が通りやすい、とあれば、タワマンのターゲットとして地方はいいのかもしれません。ですが、地方だからといっても価格は決して安くはありません。高層階では1億円を超える物件もありますので、やはり資産のある人でなければ買えるものではありません。
地方のタワマンを購入して失敗したBさんの例
Bさんは3年前にある地方の駅前のタワマンの一室を購入した45歳の老舗菓舗の3代目です。駅の構内の商店街(駅ナカ)に出店していることもあり、タワマンの建築中の時点で購入を決めました。
しかしながら、昨今の電気代高騰により自分の部屋の電気代だけでなく、エレベーターや内廊下の空調設備などの共用部の電気代も上がったことで今年に入って管理費までが上がってしまいました。将来は修繕積立金の値上げの噂もありますし、Bさんの住む地方の人口も減っていることからBさんは購入した部屋の売却を考えます。
「修繕積立金」が何倍にも値上がりするマンションが増加
ですが、中古でも通常のマンションよりも価格の高いタワマンはそう簡単には買い手が見つかりません。タワマンはある程度の資金力がある人しか買いませんが、資金力のある人であれば中古のマンションではなく新築を好む傾向があります。しかも地方ではあまり馴染みのない高い管理費や修繕積立金は嫌がられ、お金持ちのお得意様に声をかけても「ちょっと車を飛ばせば半分の値段で倍の広さの中古の一戸建てが買えるよ」と言われてしまう始末です。
地方では馴染みの薄いマンションの管理費や修繕積立金ですが、人件費が高騰し、管理会社に支払う管理委託費や工事代金が上昇傾向にあることから、管理費や修繕積立金を何倍にも値上げするところも増えています。都会地方問わず、益々イメージは落ちいていく可能性もあります。
「タワマンは節税にもなりますよ、と言われて買ってしまったタワマンですが、税制の見直しもあるようですし、やはり地方だと東京の都心部みたいに簡単には売れないんでしょうか? お店の経営も原価が上がってきて大変ですし、最近は悩みの種が増えるばかりです」
と頭を抱えているBさんです。
川淵 ゆかり
川淵ゆかり事務所
代表