世界でも指折りの長寿国である日本。医療の発展と共に、今後ますます平均寿命は延び、人生100年時代の到来も現実的。そこで困らないよう資産形成を進めていく必要がありますが、もし今日が人生最期の日だったなら……みなさんは、どうしますか?
今夜、死ぬとしたら、心残りはありますか?老後資金「2,000万円」を目標にがんばる「日本人の回答」 (※写真はイメージです/PIXTA)

人生100年と考えた場合の「老後に必要なお金」…平均値で考える

厚生労働省『令和4年簡易生命表』によると、2022年、日本人の平均寿命は女性が87.09歳、男性が81.05歳。いずれも2年連続で前年を下回りましたが、これは新型コロナウイルス感染症で亡くなった人が増加したことが大きかったといいます。流行も落ち着いてきたので、再び、平均寿命は延びていくだろうというのが大方の見方です。

 

平均寿命が延びることで不安になるのは、お金の問題。果たして老後、生活するためのお金は足りるのだろうか、という不安です。

 

現在、定年といえば60歳ですが、1980年代、定年は努力義務として55歳から60歳に引き上げられ、1994年の法改正で60歳未満の定年制が禁止に。経過措置期間を経て1998年から施行されました。定年が60歳へと移行中の1990年、男性の平均寿命は75.92歳でした。またそのころの年金の支給開始年齢は60歳。つまり定年で現役を引退し、年金生活に突入した後、15年ほど、年金を頼りにした生活があることを想定して、色々と制度設計がされていたわけです。

 

そう考えると「人生100年時代」といわれていますが、本当に平均寿命が100歳になったら、85歳まで働き、そのあと年金支給が始まるようにしないと日本は立ち行かなくなります。人生100年時代の到来……ちょっと遠慮したくなる気持ちも芽生えます。

 

それはさておき、老後を見据えて資産形成にはげむ日本人。貯蓄の目標額は平均2,000万円といわれています(金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査』より)。実際のところ、どれくらい不足になるのか考えてみましょう。

 

老後の生活のベースとなる公的年金。厚生年金受給者の平均年金受給額は、老齢基礎年金を含めて14万5,665円(厚生労働省『令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』より)。手取りにすると月12万~13万円ほどでしょうか。また総務省『家計調査』によると、高齢者の1ヵ月の平均支出額は単身高齢者で14万円。つまり、月1~2万円、1年で最大24万円ほど不足する計算です。仮に年金受給開始から100歳まで生きることを想定すれば、840万円ほどの貯蓄があれば賄えることになります。

 

これはあくまでも平均値での単純計算。実際は個々の資産背景やライフスタイルに合わせてプランニングしていく必要があります。50歳以降であれば、毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」で年金の見込額がわかります。そこから逆算して、資産形成を進めていくだけでも老後の安心感はだいぶ変わるでしょう。