ジャニーズ事務所が会見「人類史上もっとも愚かな事件」
ジャニーズ事務所は9月7日、同事務所の故ジャニー喜多川元社長による所属タレントへの「性加害問題」について会見を行った。
故ジャニー喜多川元社長による性加害問題を最初に報じたのは、イギリスのBBC。23年3月、『J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル』と題するドキュメンタリーでその内実が伝えられると、被害を受けたとする男性タレントが次々と声を挙げ始めた。5月に入ると同事務所はホームページ上に謝罪動画を公開。国内のメディアも、この一件を大きく取り上げるようになっていった。
その後、同事務所は外部専門家による再発防止特別チームを設置し、被害者への聞き取りや関係資料の調査などを重ね、8月29日に調査報告書を公表。9月7日の会見は、これを受けて行われた。
会見では、故ジャニー喜多川氏亡き後、社長を務めてきた藤島ジュリー氏の社長退任、東山紀之氏の新社長就任が発表された。東山氏は本件について「人類史上もっとも愚かな事件」と語り、再発防止と被害者への謝罪・救済について方針を説明した。
ジャニーズタレントをCMに起用する企業の株価への影響は?
会見以降、ジャニーズタレントをブランドキャラクターに起用している大手企業の今後の方針が、次々に報道されている。
タレントのCMへの起用を継続するのか、はたまた契約を打ち切るのかによって、各企業の株価にはどんな影響があったのか。これまでに、今後のタレント起用に関する方針を示している企業をいくつかピックアップし、会見前後の値動きをみていこう。
まずは、ジャニーズタレントを起用した広告・販促を行わない姿勢を明らかにしている日産自動車。会見が行われた9月7日の始値は640.1円。午後2時より会見が行われ、その後634.7円で取引を終えている。翌8日の寄り付きは630円と小幅に下落して始まり、終値は623.5円。週明け、11日は金曜の終値から5円高の628.7円で取引が開始され、12日の終値は646.8円。会見前日の終値を上回って取引を終えた。
次に、既存の広告の契約期間満了後、新たな契約の更新は行わないとしている日本マクドナルドホールディングス。会見が行われた翌日こそ30円安となったものの、すぐに値を回復。12日の終値は5,780円と、こちらも会見前日の終値を上回っている。また、現在CM出演中のタレントとの契約解除も検討しているという東京海上ホールディングスは、会見翌日の取り引きは8円安で始まったが、その後大きく値を戻し、12日には年初来高値となる3,421円で取引を終えた。
その他、ジャニーズタレントをCMに起用しない姿勢を明らかにしている日本航空やアサヒグループホールディングス、キリンホールディングスなどの12日の終値をみると、いずれも会見当日の終値を上回っている。
また、花王は12日、コーポレートサイトに「ジャニーズ事務所所属タレントの起用について」と題するお知らせを掲載。そのなかで、「現在展開しているジャニーズ事務所所属タレントを起用した広告・販促物等の展開は、可及的速やかに中止いたします」と発表。この日は、前日比70円高となる5,625円で取引を終えている。
一方、同事務所のタレントを引き続きCMに起用するとしている企業の株価はどうなったか。不二家とモスフードサービスの2社をみていこう。
まずは不二家。会見の翌日、8日の始値は2,480円。会見当日の終値から15円安でスタートし、終値は2,490円。同社は9月12日、ブランドキャラクターのSnow Manを起用した新CMのオンエアをスタートしているが、この動きはとくにマーケットに影響せず、12日は2,510円で取引を終えた。同ユニットのタレントをCMに起用し続ける姿勢を明らかにしたモスフードサービスの株価はやや下落。12日の終値は、会見当日の終値から25円安い3,355円だった。