非正規公務員「会計年度任用職員」…年収200万円未満の低収入に悲鳴
会計年度任用職員はその名のとおり、任用は会計年度ごとが基本。制度の導入はいわゆる非正規公務員の処遇改善が目的のひとつで、民間企業では賞与にあたる期末手当の支給の対象になりました。しかし当の会計年度任用職員からは
――使うだけ使われて……まるでボロ雑巾みたい
――正規の公務員と同じ量の仕事をしていて、給与は倍近く違う
――名ばかり公務員で、これではとてもじゃないが生きていけない
そんな悲痛の声が聞こえてきます。基本的に会計年度任用職員は昇給していくことを想定していますが、全国町村会はその昇給の上限を定義し、事務職員の場合「1級25号俸」としました。その額、およそ18万円。これがフルタイムで働いた時の上限です。
公務非正規女性全国ネットワークが行ったアンケート調査によると、回答者のうち5割以上が年収200万円未満、主に生計を担っている女性でも7割が年収250万円以下でした。
また会計年度任用職員は新地方公務員法において一般職として位置づけられ、服務に関する規定が適用されます。たとえば兼業の禁止もフルタイムの場合は適用。「収入が足りないから」と、アルバイトをするわけにはいきません。
また前述の通り、1年会計年度に限って任用される職員ですが自動更新というわけではなく、更新回数も原則2回まで。民間企業では有期雇用労働者が5年以上働けば無期労働契約に切り替えられる「無期転換ルール」がありますが、会計年度任用職員は公務員なので労働契約法の適用外。無期転換ルールは適用されません。
――公務員でありながら不安定で明日も見えないワーキングプア
このような状況は問題視され、各自治体では非正規から正規への転換が進んでいるといいます。一方で、人口減少のなか、地方の財政は逼迫。非正規公務員を積極的に活用し、人件費を圧縮しようという動きも。
どちらにせよ、会計年度任用職員は制度ができてから日が浅く、さらなる改善が必要なことは明らか。行政で働いていながら生活もできない……なんとも皮肉な状況が、一刻も早く変わることを願うばかりです。