将来、親の介護を考えるなら、少し親とは距離をおいたほうがいいかも
朝日生命が昨年行った「自分の老後・介護についての意識調査」によると、老後に対して83.3%の人が「不安あり」と回答し、その不安の内容のトップは「お金が足りなくなること」で84.4%。続くのは「身体機能がいまよりも衰えること」70.0%、「認知症になること」53.7%と、“老い”に関するものでした。そして「将来介護状態になると思うか」に対しては、68.7%が「介護状態になる」と考え、不安の内容として「介護費用をまかなうための資金が不足すること」62.2%に続き、「家族・親族に肉体的・精神的な負担をかけること」といった介護負担についての不安が55.1%と過半数を占めました。
この結果の通り、「介護する側」は、肉体的にも精神的にも辛いもの。生命保険文化センター「生活保障に関する調査」においても「親の介護に対する不安」として、「自分の肉体的・精神的負担」65.7%と最多でした。
人にもよりますが、家族の介護をするようになると、介護状態の進行によって、仕事との両立ができなくなり介護離職となり、どんどん介護に時間が割かれるようになるに従い、社会からも疎遠に。介護する側もされる側も追い込まれていき、最悪の結果に……そのような話は枚挙にいとまがありません。
――介護が必要/不必要問わず、親と子は少し距離があるくらいがいい
と唱える専門家も。国土交通省『高齢者の住まいに関する現状と施策の動向』内、「親子近居・同居世帯に対する調査(報告)」によると、サンプル数が少ないので留意する必要がある、という断りが入るものの、親の住まいと子の住まいが「徒歩5分以内」の距離のほうが、同居や隣居以上に生活満足度が高い傾向がみられ、それ以上の距離だと生活満足度に大きな違いがみられなかったとしています。
また世帯間の交流頻度が高い人ほど、子世帯は介護サービスを利用しながら親を介護する予定とする傾向にあるといいます。距離が近すぎると「親の介護をするのは自分」という使命感でいっぱいになるのでしょう。適度な距離感であれば、お互いにちょうどいい形、無理のない形で、介護にのぞめるということなのでしょう。
40代の娘:お母さん、私、家を出るわ……心配しないで
同居する70代の母に、そんな提案をする40代の出戻り娘。「どこに行くつもりなの?」と尋ねたら、「ここから5分くらいのマンションに部屋を借りたの」と娘。きっと親としては「そんなお金のもったいないことしなくても。部屋も余っているし」などと考えるかもしれません。また「何か、悪いことしちゃったかしら……」と不安を覚えるかもしれません。しかし、それは親子が一番良好な関係でいられるよう考え抜いたもの。「お母さんとは、ずっと仲良しでいたいから」そんな親を思う娘の優しさです。
同居でも隣でもなく、徒歩5分くらいの距離。将来的に親の介護を考えるなら、いまのうちにちょうどいい距離感で暮らしてみるといいかもしれません。