今回の相談者は、離婚することが決まり、ペアローンで購入した自宅からすでに出てきてしまった妻・加奈さん(仮名)。家賃の負担もあることから、少しでも早くペアローンを解消したいと考えていますが、調べれば調べるほど、離婚を原因とするローンの名義変更の難易度が高いことが分かり、頭を抱えています。持ち家離婚カウンセラー・入江寿氏はどんなアドバイスをしたのでしょうか。詳しくみていきます。
離婚による〈ペアローン解消〉に苦戦の夫婦…夫の“収入減”も、無事に借換え審査をパスできたワケ【持ち家離婚カウンセラー相談事例】 (※写真はイメージです/PIXTA)

ローン返済と家賃を二重で負担する妻…「ペアローンを解消したい」との相談

今回の相談者は、本田加奈さん(仮名)。「ペアローンで購入した共有名義の自宅があるのですが、離婚することになったので、このペアローンをなんとか解消したいと思っています」と、メールで問い合わせをもらいました。

 

後日面談を実施して話を聞いてみると、加奈さんはすでに家を出て、1人暮らしを始めていました。共有名義の自宅には現在、夫の直哉さんが一人で暮らしているとのことでした。

 

共有名義の自宅があるのは、直哉さんが学生時代から慣れ親しんだ小田急線沿い。加奈さんはとくにこの地に思い入れを抱いている訳ではなかったため、自身は早々に自宅を出て、勤め先への通勤に便利な場所に部屋を借りていました。

 

加奈さんは、直哉さんに共有名義の自宅の名義と住宅ローンの一本化をお願いしていますが、直哉さんには「仕事が忙しい」とはぐらかされており、なかなか前に進まないとぼやいています。

調べれば調べるほど明らかになる「離婚による名義変更」の難しさ

もちろん加奈さん自身でも、いまの借入銀行には問い合わせを行いました。しかし銀行からは、名義変更には難色を示されたといいます。自分自身で調べれば調べるほど、離婚を原因とする共有名義の自宅と住宅ローンの名義の一本化は難しいということがわかり、頭を抱えています。

 

銀行は、そうしたニーズに対応するローン商品を持たないことに加え、「虚偽離婚」の形で離婚した人が、新たな住宅ローンを住宅購入以外の用途に使うのではないか、というリスクを恐れているのです。

 

現在、ペアローンの返済と自身の家賃を負担している加奈さん。少しでも早く、ペアローンを解消したいと考えるのは当然です。

 

面談では、ローンの残債や直哉さんの年収、お仕事内容、住宅ローン以外の借入の有無などについて、詳しくヒアリングを行いました。ペアローンの残債を全額借換えするのは難しそうでしたが、加奈さんから受け取った書類を基に、直哉さんがいくらまでなら借入ができるのか、検証してみることにしました。