「投資嫌い」の日本人が資産運用を始めるきっかけは…?
前述の資産ポートフォリオで金融資産1,593万円のうち689万円を「現預金」が占めていることからもわかる通り、日本人が強い「安全志向」を持っていることは有名です。
アメリカの家計金融資産の割合をみてみると、「現預金」と「投資商品」の比率が日本とはほぼ正反対。過去20年を振り返ってみると、アメリカの家計金融資産がおよそ3倍になったのに対し、日本は1.5倍ほどの増加にとどまっています。「現預金」比率の高さの背景として、日本人の「リスクを嫌う国民性」が指摘されることも多いようですが、両国の「お金の増え方」の差を目の当たりにすると、そんなこともいっていられなくなりそうです。
また、日本人が投資を行わない理由として、金融リテラシーの低さが挙げられることも。金融広報中央委員会『金融リテラシー調査(2019年)』によると、米国調査との比較では、正誤問題の正答率で「米国」53%に対して「日本」は47%。OECD調査との比較では、正誤問題の正答率で「フランス」が72%、「ドイツ」が67%、「英国」が63%だったのに対し、「日本」は60%でした。
そんな投資嫌いの日本人。前述の投資信託協会の調査によると、「投資を始めたきっかけ」として「金融機関から勧められた」というものが男女ともに3番目にランクインしており、身近な銀行から誘いが「投資家デビュー」のきっかけになるケースが多いようです。
なじみの銀行の窓口でこんな案内を受けたら、「だったらどうすればいいの?」と思わず聞きたくなるものです。
そこで、銀行員から投資信託を勧められた経験がある人は多いのではないでしょうか。
「金融のプロが投資先を選んでくれます」「毎日値動きを気にする必要はありません」と勧められ、「銀行が嘘をつく訳ないよな」と、リスクをよく理解できないまま安易に購入するのは危険です。銀行はボランティアではありませんから、「銀行の利益になるものを売る」のが基本スタンスと思っておくべきだといえます。
先に、アメリカの家計金融資産が20年で3倍超になったことに触れましたが、これには、幼少の頃から金融や投資に関する教育を受けたアメリカ人が、高い金融リテラシーを持っていることが大いに影響しています。「よくわからないけど、銀行が勧めてくれたから」で資産運用を始めても、成功する確率は極めて低いといえるでしょう。