日本の上位5%といわれる年収1,000万円超の「エリート」たち……退職金も多く、定年後も“余裕の老後生活”を送っていると思いきや、実は「老後破産危機」に陥ってしまう人が少なくないと、株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPはいいます。上場企業で部長職を勤めていたTさん(66歳)の事例をもとに、高所得者が老後破産危機に陥る原因と対策をみていきましょう。
年金月30万円、退職金3,200万円で「勝ち逃げ確定」かと思いきや…66歳・元エリートサラリーマンが老後「節約地獄」に堕ちたワケ【FPが警告】 (※写真はイメージです/PIXTA)

iDeCoやNISA、債券で“事前に対策”を

Tさんのように高年収のために生活水準が高くなっていたことで、老後になってから大変な思いをされている方は意外にも多くいらっしゃいます。

 

Tさんの場合、まずは家計の見直しから始める必要があります。家計は奥様に任せきりだったそうですが、「これからはTさんも一緒に家計を整理して節約をしていきましょう」とお話ししました。

 

収入を増やすためにはアルバイトができればいいのですが、Tさんは年齢とプライドの高さから難しい状態です。結局、趣味のゴルフや旅行を我慢することで節約するしか手立てはありません。

 

Tさんのような状況に陥らないためには、現役のころから節約や節税を心がけておくことが大切です。

 

1.iDeCo

年収が高い人は「iDeCo」を活用することで、将来の資金を準備できます。掛け金の全額が所得控除となるので節税効果があるためです。iDeCoの掛け金の上限は会社員の場合、月1万2,000円~2万3,000円です。仮に年収1,000万円の人が上限の月2万3,000円(年間27万6,000円)を拠出するとおよそ8万円の節税効果があります。

 

2.NISA

さらに余剰資金があればNISAを利用すれば、運用益が非課税となり老後資金をさらに手厚く確保することができます。

 

来年2024年からは投資期間が無期限となり、投資可能額も総額1,800万円と制度が拡充されます。投資可能額の枠を使い切ることができれば、老後の生活はかなり豊かになります。ただし、NISAではリスクのある株式と投資信託が選択肢となるためこの点は注意が必要です。

 

3.債券投資

こうしたリスクが気になる人は「債券」に投資するという方法もあります。債券は銀行や証券会社で取り扱われており、発行主体がなくならない限り満期になると元本と利息を手にすることができます。

 

老後破産を招かないためにも、上記のような方法でできるだけ早く準備をしておきましょう。

 

 

武田 拓也

株式会社FAMORE

代表取締役