日本企業の大半が60歳定年制を導入していますが、役職者に限っては、その前にもう1つの「定年」を迎えることがあります。それが、従業員500人以上の企業ではおよそ3割が採用しているという「役職定年制」。大企業で部長を務める男性を例に、詳しくみていきます。
大企業勤務・年収1,200万円超の“勝ち組”部長「え、聞いてないよ」…定年前、まさかの〈年収4割減〉に苦悶 (※写真はイメージです/PIXTA)

企業規模500人以上の企業の3割が「役職定年制」を導入

人事院『民間企業の勤務条件制度(令和2年調査結果)』によると、99.5%の企業が定年制度を導入しており、うち81.8%が、「60歳」を定年の年齢として定めています。

 

去る2013年には、「高年齢者雇用安定法」が改定され、企業には65歳までの雇用確保が義務づけられました。現在は経過措置期間中ですが、25年4月以降、65歳までの雇用確保は企業の義務となります。定年制度を導入している企業では、「①65歳までの定年の引上げ」「②65歳までの継続雇用制度の導入」「③定年の廃止」のいずれかの対策を講じる必要があります。

 

上記の調査で、「定年制の今後の変更予定」を尋ねたところ、「変更することが決まっている」企業はわずか2.8%。ほか多くの企業は「検討中(19.1%)」または「変更予定なし(77.7%)」としています。「変更することが決まっている」企業の95.7%、「検討中」の企業の98.4%は、変更内容として、①の定年年齢の引き上げを行おうとしているようです。

 

つまり、65歳以上までの定年年齢の引き上げを決定している企業は、100社のうち2~3社。多くのサラリーマンが「ひとまず60歳で区切り」という現状は今後も続きそうです。

 

加えて、役職に就いている人は、定年前にもう1つの「区切り」を覚悟しておく必要があるかもしれません。それが、「役職定年」。同じく人事院の『民間企業の勤務条件制度(平成29年調査結果)』によると、役職定年制を導入している企業は16.4%。企業規模500人以上の大企業に限ると30.7%にもなります。