個人的に好きで応援したい会社の株は、やはり買いたくなるのが人情というもの。しかし、それを軽率に買ってしまうことは慎むべきかもしれません。十分な利益が出ないどころか、大きな損失を被る場合もあるからです。本稿では、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏が、好きで応援したい会社の株を買う前にチェックしたいポイントについて解説します。
「好き」「応援したい」会社の株を買う前に…“必ず”チェックすべき〈3つのポイント〉【株式投資のプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「好き」だけで判断せず、まずは決算書をチェックする

特定の製品やサービス、ブランドなどを好み、その会社を応援するために株を買おうとする投資家は少なくありません。そして、そうした投資家はその会社の株で利益を出せる、と考えてしまいがちです。

 

しかし、そこですぐに資金を投じるのは危険です。

 

「好き」ということと、「その会社が優れている」というのはまったく別物だからです。

 

買うかどうかを判断するには、まず決算書に目を通す必要があります。毎年安定して利益を出ているか、借金が多すぎないか、配当はどれくらいか、その配当は継続しそうか……などをチェックするべきでしょう。

 

いくら好きな会社で知名度があっても、あるいはメディアで称賛されていたとしても、投資対象としてその会社が本当に優れているかどうかはわかりません。しかし人間は、自分が好きな会社を過剰評価しがちな一面を持っています。

 

その会社が粉飾決算やそれに近いことをしていない限り、決算書の数字は会社の状況を偏見なく表しています。ですから、すぐに株を買おうとするのではなく、一度決算書に目を通し、自分の感情から切り離した目線でその会社を眺めてみることが大事なのです。

優良企業であったとしても、「現在の株価」が適正な水準かどうかをチェックする

好きで応援したい会社の決算書をチェックしたところ、やはり優れた会社であることがわかったとします。そこで投資に値すると考えたとしても、もう一点チェックすべき箇所があります。

 

それは、株価です。

 

いくら好きで応援したくても、その会社が真の優良企業でも、株価が高すぎれば投資対象としての旨味はありません。それどころか、高値掴みをして大きな損失を被る可能性すらあるのです。

 

ですから、株が高値圏にある場合、その会社が真の優良企業であったとしても、株を買うのは慎むべきです。

 

高い時期に買ってしまえば、逆にハイリスク・ローリターンの投資になりがちです。反対に、株は安ければ安いほど、その後の値下がり確率は低く、逆に値上がり確率が高くなります。ローリスク・ハイリターンの投資となるのです。

 

「では、適正以下の株価とはどれくらいなのか?」と疑問に思うかもしれませんが、その判断こそが「投資家の腕の見せ所」といえます。ここではその詳細は到底説明しきれません。結局、「勉強・経験・研究」が必要であり、適正株価はそう簡単にわかるものではない、とだけお伝えしておきましょう。

 

その点も含めて、「好きで応援したいから」という理由だけで買い判断をすると、損をしかねないということです。適正以下の株価を判断する力と、株価が買いに値する水準になるまで待つ忍耐力が必要なのです。