投資に興味のある人は年々増えているようです。なかでもNISAは多くの人が知っている制度ですが、しっかりと調べずに始めてしまうことで損をしてしまう人も多いとか。本記事では、Yさんの事例とともにNISAをはじめとした投資の注意点について、FP dream代表FPの藤原洋子氏が解説します。
「NISAなんてやらなければ…」長男の入学費用使い込み、妻からの激しいしっ責。“年収650万円・41歳夫の顛末”【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

NISAを始める前に確認すべきポイント

YさんはNISAなんてやらなければ、と後悔していますが、失敗の根本原因は別にあるといえます。

 

配当金とは、株主に分配するお金のことで、会社の利益の一部を年に1回から2回など受け取ることができるというものです。会社の利益の状況によって、分配する/しない、配当金額の引き上げ/引き下げが決定します。株価に対する配当金額の割合を示す指標のことを「配当利回り」といいます。配当利回りは、預貯金の利率を大きく上回ることもあり、配当利回りに注目して銘柄を選ぶ人は増えています。

 

しかし、高い配当利回りはずっと続くと確定したものではありません。企業の業績が悪化すれば、配当金が引き下げになり株価が下がる可能性もあります。株式を選ぶ場合は、配当利回りだけでなく長期的に業績が安定的か、という視点も大切です。

 

Yさんのように、特定の銘柄に集中投資するのは避けたほうがよいです。なるべくたくさんの銘柄から選びましょう。また、同じ業種の銘柄ばかりに投資するのも避けましょう。金融庁のNISA特設ウェブサイトにも記載がありますように、分散投資をすることが価格変動リスク等を軽減することにつながります。

 

誰かの言葉を信用して投資をすることも避けたいです。自分で勉強してよいと思う銘柄を選びましょう。しかし、よいと思って投資しても株価が下がってしまうということもあるかもしれません。損失を最小限にするには、どんなによいと思っていても自分でルールを決めて売却を実行することが重要なのです。

「投資に回せるお金」とは?

投資に回せるお金とはどのようなお金でしょうか。

 

まず、YさんとKさんは、今後のご家族のために必要な資金は、どれくらいになるか考えていく必要があるでしょう。2人のお子様の教育はどのようにされたいのか、そのための教育費はいくらくらい必要なのか、実家に戻ることは現実的なのか、老後の生活資金はいくらくらい準備しておきたいか……。今後は、収入から残ったお金を貯めるという考え方ではなく、いつまでにいくら貯める、という金額の目標をご夫婦で話し合っていきくべきです。

 

貯蓄額のなかから当面使う予定がないお金を投資に回し、長期的な視点で運用を行い資産を増やしていく、という意識を持ちつことも重要です。分散投資には、投資する時期を分散する、という方法があります。業績が安定的な資産や銘柄を複数選んで、一度に投資するのではなく、少額から定額を定期的に行うことで、全体として安定した利益が出るのではないでしょうか。

 

 

藤原 洋子

FP dream

代表FP