投資に興味のある人は年々増えているようです。なかでもNISAは多くの人が知っている制度ですが、しっかりと調べずに始めてしまうことで損をしてしまう人も多いとか。本記事では、Yさんの事例とともにNISAをはじめとした投資の注意点について、FP dream代表FPの藤原洋子氏が解説します。
「NISAなんてやらなければ…」長男の入学費用使い込み、妻からの激しいしっ責。“年収650万円・41歳夫の顛末”【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

友人の勧めでNISAを始めてみることに…

メーカー勤務のYさん(41歳)は、妻のKさん(38歳、旅行会社勤務)と2人のお子さん(長女7歳、長男5歳)との4人家族です。Yさんは、現在首都圏にお住まいですが、実家は関西地方にあります。定年後は実家(戸建て)に戻るつもりですので、住宅は購入していません。

 

Yさんの年収は650万円、Kさんの年収は450万円、夫婦の年収は合わせて1,100万円あります。YさんとKさんは結婚したときから、お互いの収入から生活費にいくら充てるかを決めて、それぞれが出し合い、家計管理は妻のKさんが担当していました。収入のうち残りの金額は、各々で管理していましたので、2人はお互いがどれくらい貯蓄をしているのか知りません。残った金額を貯める、そんな感じで過ごしていました。

 

ある日、Yさんは友人のNさんから株式投資を始めたという話を聞きました。Nさんは、「投資って興味ない? 最近A社の株式を購入したんだけど」という話をしたそうです。「NISA口座っていう専用の口座を開設してその口座内で投資すると、金融商品の利益に通常かかる税金がかからないんだよ」

 

Yさんは、投資に興味はありましたが、始めるきっかけがなく先送りにしていたそうです。Nさんは、配当金を受け取っているそうです。Yさんは友人のNさんが「投資を始めたおかげで資産が増えた」という話をすっかり信じて、すぐに投資を始めたいと思いました。相談された奥様のKさんも賛成したそうです。

友人の情報を信用して集中投資

Yさんは、さっそく、インターネットで投資ができる証券会社のなかから1社を選んで、口座開設の手続きをしました。

 

Yさんは、「Nさんが購入したものと同じ銘柄の株式を購入すればいいかな」と考えていました。Nさんが購入したというA社の株式は、株価に対する年間配当金の割合が高い高配当株と呼ばれるものでした。

 

Yさんは、自分で貯めている分の300万円のうち200万円をその銘柄の株式購入にあてました。投資を始めてからしばらくのあいだは予想どおりの配当金を受け取ることができ、Yさんも一安心。

 

――しかしほんの数ヵ月後、A社は業績悪化により株価は徐々に下がって、配当金は引き下げになりました。配当金の引き下げによってさらに株価は下がり、いまでは半分ほどになってしまいました。Yさんは、そのうちもとに戻るのではないかと考えそのまま保有されていますが、気になって仕方がないご様子です。

 

妻に相談すると、「長男のお受験で入り用のときになんてことをしてくれたの!」と激しいしっ責にあい、NISAなんてやらなければよかった……と心底後悔するYさんでした。