昨今「年金だけでは暮らせない!」と、引退後も再雇用で働いたり、現役のうちから資金形成をはじめたりと、懸命に「老後のお金づくり」をしている人が増えています。しかし、申請するだけでもらえる「特別な年金」をもらい忘れている可能性があると、FP Office株式会社の久保雅巳FPはいいます。特別な年金をもらえる条件や詳しい中身をみていきましょう。
年収850万円未満が対象…“もらい忘れる人”多数!65歳よりも前に受け取れる「特別な年金」【FPがコッソリ伝授】 (※写真はイメージです/PIXTA)

あなたはしっかり受け取れた?…“もらい忘れ”が多い年金

加給年金

厚生年金保険の被保険者期間が20年以上の人が、65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)で、その人に生計を維持されている下記の配偶者、または子がいるとき、「加給年金」が加算されます。

 

ただし、「生計を維持している」と認定されないと、支給されないため、注意が必要です。生計維持の認定基準は「同居していること」「加給年金額等対象者の前年収入が850万円未満、所得が655万5,000円未満であること」の2点となります。

 

支給額は[図表1]のとおりです。

 

出所:日本年金機構HP「加給年金額と振替加算」(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kakyu-hurikae/20150401.html)より
[図表1]加給年金の対象者と金額 出所:日本年金機構HP「加給年金額と振替加算」(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kakyu-hurikae/20150401.html)より

 

特別支給の老齢厚生年金

「特別支給の老齢厚生年金」は、昭和60年の法律改正により、厚生年金保険の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた際、受給開始年齢を段階的にスムーズに引き上げるために設けられた制度です。これを受け取るためには、以下の要件を満たしている必要があります。

 

【受給要件】

・男性の場合:昭和36年4月1日以前に生まれたこと。(令和5年4月時62歳以上)

・女性の場合:昭和41年4月1日以前に生まれたこと。(令和5年4月時57歳以上)

・老齢基礎年金の受給資格期間(10年)があること。

・厚生年金保険等に1年以上加入していたこと。

・生年月日に応じた受給開始年齢に達していること。

 

受け取ることができる金額は、[図表2]のとおりです。ただし、 在職されている方は報酬によって支給停止となる場合があります[図表3]。

 

出所:日本年金機構HP「特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢」(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20140421-02.html)より
[図表2]特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢 出所:日本年金機構HP「特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20140421-02.html)より

 

出所:日本年金機構HP「在職老齢年金の計算方法」(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/zaishoku/20150401-01.html)より
[図表3]在職老齢年金の計算方法のフローチャート 出所:日本年金機構HP「在職老齢年金の計算方法」(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/zaishoku/20150401-01.html)より