昨今「年金だけでは暮らせない!」と、引退後も再雇用で働いたり、現役のうちから資金形成をはじめたりと、懸命に「老後のお金づくり」をしている人が増えています。しかし、申請するだけでもらえる「特別な年金」をもらい忘れている可能性があると、FP Office株式会社の久保雅巳FPはいいます。特別な年金をもらえる条件や詳しい中身をみていきましょう。
年収850万円未満が対象…“もらい忘れる人”多数!65歳よりも前に受け取れる「特別な年金」【FPがコッソリ伝授】 (※写真はイメージです/PIXTA)

日本の年金は「申請主義」

令和4(2022)年4月から年金制度が改正され、老齢年金の繰下げの年齢について、上限が70歳から75歳に引き上げられました。これにより、通常65歳から受け取ることができる老齢年金を70歳から受け取ると142%に、75歳から受け取ると182%に増額され受け取ることができます。

 

こうしたなか、「年金、いつからどのように貰おうかな?」と考えている人も多いのではないでしょうか。

 

しかし、1点忘れてはいけない重要なことがあります。それは、年金は申請しないともらえないということです。65歳の誕生日になると自動で振り込まれるわけではありません。申請してはじめて受け取ることできます。もし請求書を提出しなければ、自動的に繰り下げ受給を選択したことになってしまうのです。

 

「65歳になる誕生月の初め頃(1日生まれの方は前月の初め頃)に、日本年金機構本部から「年金請求書」をお送りしますので、誕生月の末日(1日生まれの方は前月末日)までに必ずご提出ください。届出が遅れますと、年金の支払いが一時保留されることがありますので、ご注意ください

※ 日本年金機構HP「65歳時の年金の手続き(特別支給の老齢厚生年金を受給している方)(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/rourei/seikyu/20140421-26.html)より

 

このように、年金のなかには「請求すればもらえたはずなのに、忘れると受け取れないもの」が複数あります。年金制度を把握したうえで、該当する場合は忘れずに申請しましょう。ただ、すぐに受け取らず、期間を空けてから受け取ったほうが最終的に多くの金額を受け取れるものもあります。それぞれのメリット・デメリットを把握し、適切に申請することが大切です。

 

年金の「時効」に注意

なお、年金を受ける権利(基本権)は、権利が発生してから5年を経過すると、時効によって消滅します(国民年金法第102条第1項・厚生年金保険法第92条第1項)。公的年金は申請すればいつでもOK、というものではないので注意が必要です。