エリートなら全員「老後の準備が完璧」というわけではない
圧倒的、エリートであり、勝ち組である人たち。その老後も「さぞかし余裕なんでしょうね」と、少々嫉妬混じりに聞いてみると、必ずしも「そうですね」という答えがあるわけではありません。
総務省『家計調査 家計収支編』で、高所得者の家計収支を確認すると(図表)、どの年収帯の消費支出をみても、世帯主の給与の手取り以上に消費していることが分かります。たとえば、世帯主の月収が65万~70万円の世帯(世帯主平均年齢50.3歳)であれば、1ヵ月に47万円程度の支出があるのが平均値です。
ただ、いつまでも高収入を保てるわけではありません。定年時には雇用形態や給与形態が変わり、給与は平均3割減。さらに完全に現役を引退し、年金生活に入った際にも、収入は3割減となります。月に47万円を消費する生活を続けたとすると、年金250万円、貯蓄4,600万円あったとしても、早々にお金が尽きてしまうのは明白。毎年の赤字額は314万円となり、貯蓄は15年もたず……80歳を前にして底をつき、老後破産を迎えます。
――そんな子どもでも分かるようなこと起きるわけがない!
――普通、高所得者なら不動産などの副収入があるだろう
そのような声も聞かれますが、その通り。たいていは収入減に向けて、少しずつライフスタイルの見直しを図ったり、消費欲を支えるだけの準備をしたりするものです。
しかし、なかには、一度上げた生活水準を下げることはできず、さらに預貯金以外に準備もなしという、なんとも残念なエリートの姿もチラホラ。このような場合、勝ち抜け確定かと思いきや、むしろ老後破綻確定なのです。
もちろん、老後を見据えたライフスタイルの見直しは、エリートに関わらずしなければならない必須事項。50代を迎えて、いよいよ現役引退後の年金生活がみえてきたら始め時です。まずは現段階のお金の流れを洗い出し、見直しを図っていく……悠々自適な老後を手に入れるためにも、長期的に取り組むのが正解です。