都心の新築マンション価格が高騰を続けています。マンション価格高騰の要因の1つになっているのが、都心に続々と誕生している「タワーマンション」ですが、“億超え”が当たり前の都心タワマンを買っているのは、富裕層や投資家だけではありません。本記事では、通勤の利便性や、きらびやかな暮らしへのあこがれから、都心に1億円のタワーマンションを購入した世帯年収1,500万円の30代パワーカップルの住宅ローン返済プランをシミュレーションしていきます。
1億円のタワマンを買った30代・パワーカップル…世帯年収1,500万円超の“勝ち組”から一転、「初めての節約生活」突入が不可避なワケ (写真はイメージです/PIXTA)

タワマン市場を引っ張る「パワーカップル」

東京23区内の新築マンション平均成約価格が「1億円を超えた」と大きな話題になっています。

 

新築マンションが高くなっている代表的な理由として、資材高や人件費の高騰で建築コストが膨らんでいることが挙げられますが、続々と供給される「タワーマンション」も、マンション成約価格高騰の要因の1つといえそうです。

 

木造住宅が密集する住宅地における災害発生時のリスク緩和や、高度成長期に建設された建築物の劣化に伴って各地で進行中の再開発により、タワーマンションは次々に生まれています。街のランドマークとなるタワーマンションは再開発の目玉企画とされることも多く、その注目度の高さによって、周囲の同等の物件より3割程度高い価格で取引されるケースも珍しくありません。こうして、新築マンション市場の平均価格が押し上げられているのです。

 

そんなタワーマンションですが、少し前は富裕層が税金対策を目的に購入するケースが目立ちました。とくに市場価格が高くなりがちな高層階ほど、実際の取引価格と相続税評価額との乖離が広がり、大きな節税効果を得られるというカラクリがあったためです。しかし、相続税の税負担に不公平が生じているなどの指摘が多かった「タワマン節税」にはメスが入れられ、富裕層による税金対策目的の購入は下火になりました。

 

節税目的の富裕層が手を引いた後、タワマン市場を引っ張っている主体の1つが「パワーカップル」です。

 

パワーカップルとは、世帯年収1,200万円以上、あるいは夫婦ともに年収700万円以上・世帯年収1,400万円以上などと定義は様々ですが、夫婦共働きで高収入、消費意欲が旺盛というのが特徴。2人そろって高収入であることから、ペアローンを利用すれば、1億円近い金額の融資を引き出すことも可能です。

 

働き盛りで消費意欲旺盛、資金調達力も兼ね備えている彼らが、通勤にも便利な都心のタワーマンションを選択するのは自然な流れともいえます。

 

「バリバリ稼いで、良いところに住む」

 

そんな人生を体現しているパワーカップル。「勝ち組」「うらやましい」と感じる人もいるでしょうが、パワーカップルというのは分解してみれば「収入の多い会社員×2」に過ぎません。

 

1億円に迫る住宅ローンを組んで都心のタワーマンションを買うことに、本当にリスクはないのでしょうか。