長生きすればするほど、老後資金が足りなくなるリスクが増大します。これに対処するには60歳以降もお金を増やしていくことが必要であり、そのために有効な方法の一つが「投資」です。投資でリスクを抑え、着実にお金を増やすには、どうすればよいのでしょうか。FPの浦上登氏による著書『70歳現役FPが教える 60歳からの「働き方」と「お金」の正解』(PHP研究所)から一部抜粋して紹介します。
投資は「60歳から」でも間に合うが…失敗しないため絶対守るべき「3つのルール」【70歳現役FPのアドバイス】 (※写真はイメージです/PIXTA)

分散投資の基本2|「銘柄・地域のリスク」を分散する

これは先ほど挙げた日本航空の経営破綻で説明したセオリーです。

 

単独の企業の株式に投資をすると株価が上がることもありますが、最悪、株価がゼロになってしまうことがあります。

 

単独株への投資から運輸・物流株、日本株、日本・アメリカ・欧州などの先進国株、世界株への投資とその範囲を広げていけば、株価が極端な動きをするリスクを緩和することができます。

 

これを銘柄または地域のリスクの分散といいます。

 

このような投資をするにはどうしたらよいのでしょうか?

 

インデックス・ファンドのような投資信託に投資をすればよいのです。

 

日経平均株価やS&P500以外にも、先進国のインデックスや新興国のインデックス、全世界のインデックスにリンクする投資信託が売り出されています。

 

それを購入することで、例えば、全世界の株に投資をすることが可能になるのです。

 

また、アメリカのように経済力の強い国に特化して投資したい人はS&P500インデックス・ファンドに集中して投資をすることも可能です。

 

分散投資の基本3|「値動きのリスク」を分散する

次の分散投資は前節でも挙げた株価と異なった動きをする資産に投資するやり方です。これを値動きの分散といい、債券、金、不動産に投資する方法です。

 

債券、金、不動産は株価と異なった動きをします。そのメカニズムは複雑ですが一般的には次のような傾向があります。

 

・金利が上昇すると債券の利回りは上昇し、株価は下落します。

 

・金利が低下すると債券の利回りは低下し、株価は上昇します。

 

・金の価格は戦争などの有事、株価の暴落などの際に上昇します。

 

不動産は元来、ミドル・リスク、ミドル・リターンといわれている資産です。銀行預金と株式投資の間に位置する資産と考えればよいでしょう。

 

インデックス・ファンドはハイ・リスク、ハイ・リターンの単独株投資をミドル・リスク、ミドル・リターンに近づけたものなので、不動産の価格の動きは、ほぼ株式インデックスと同様の傾向で推移しています。

 

60歳なら長期投資に十分な時間が残されている!

60歳の方の平均余命は、男性で24年、女性で29年あります。

 

長期投資に必要な寿命は残されていると考えていいでしょう。

 

長期投資は長ければ長いほど有利です。もしも、長期投資の途中で不幸にして亡くなられることがあっても、配偶者がいらっしゃればその方に相続したり、子供のある方ならば、お子様に相続すれば、親子二代で長期投資を続けることができます。

 

相続時に株価が低迷していれば、現金で相続するより相続税が安くなるというメリットもあります。

 

自分は年だから長期投資はできないと考えることは、ある意味でもったいないことです。

 

 

浦上 登

サマーアロー・コンサルティング

代表・CFP認定者(日本FP協会)・証券外務員第1種(日本証券業協会)