想定外の事態で老後はいきなりピンチに!
まさかの誤算で「年金だけでは暮らせない」とアルバイトを続ける団塊の世代。とはいえ、実際にこのような生活苦に陥るケースは前出のとおり少数派。多くの人はそれほど老後の生活を恐れる必要はないでしょう。
ただ現役世代の私たちは十分に備えたいもの。男性に身に起きた誤算のほかにも、想定外の事態に直面することもあります。代表的なものをみていきましょう。
老後まさかの誤算① 働けなくなる
前出のように、年金世代に達するまでに上手く資産を築けない人は多いもの。「貯蓄なしの世帯」は50代で30%、60代で20%ほど。60代で大きく資産を増やせるはずがなく、70代でも20%は「貯蓄なし」となるわけです。このような場合、「働けるうちは働けばいい」と、一生現役でいることで解決しようとしますが、年を重ねるごとに介護や病気のリスクは高まり、一度働けなくなると、一気に生活は苦しくなります。
老後まさかの誤算② 住まいの修繕
「持ち家であれば何とかなる」と考えている人は多いように、安定した老後のためには「持ち家であること」は必須条件。持ち家であれば維持費にもお金がかかることは当然知っているでしょうが、その金額が想定よりもだいぶ大きくなることも。特に昨今は、物価上昇により、リフォーム費も上昇。備えがあっても痛すぎる出費に涙する高齢者も増えています。
老後まさかの誤算③ 年金の減額
特にこれから年金を受け取る人たちは意識しておきたいこと。現在、年金を受け取り始める時点(65歳)における年金額が、現役世代の手取り収入額(ボーナス込み)と比較してどのくらいの割合かを示す「所得代替率」は60%ほど。つまり「現役世代の生活の60%ほどの水準を年金でカバーできます」ということになります。それが20年後には50%、2割ほど低下することが確実視されています。このことを見据えて心構えしておかないと、20年後、「なんか生活が苦しい……」という状態に陥ってしまうのです。
生きていれば、さまざまな想定外に見舞われるでしょう。ただ、頑張った現役時代を引退しての老後は、穏やかに暮らしていきたいもの。そのためにも十分な備えは必須です。特に日本が成長期だったころの恩恵を受ける今の高齢者と違い、現役世代のわたしたちはそのような恩恵は受けることができないでしょう。政府は一層の自助努力を求めていますが、わたしたちはそれに応じて、コツコツと資産形成を進めるしか方法はありません。