8月も値上げのニュースが止まらず、収入のほとんどを年金に頼る、年金生活者の生活苦は深刻度を増しています。そんななか、衝撃的な事件が起きました。みていきましょう。
年金月9万5,000円「もう、生きていけない」…生活困窮の70代おひとり様、越えてはいけない一線 (写真はイメージです/PIXTA)

生活保護を受ける「おひとり様の高齢者」は増加傾向

8月、値上げされる食品は1,100品目ほど。昨年同月比の4割程度となり、7ヵ月ぶりに減少に転じたと話題になりました。今後、10月には値上げのピークを超えると見られるものの、今月値上げされたのは、牛乳やヨーグルトなど、よく食卓にのぼる食品が多く、「また値上げかぁ」という私たちのため息は止まりそうもありません。

 

内閣府による『満足度・生活の質に関する調査』によると、総合的な生活満足度はコロナ拡大前と同水準まで回復したといいます。一方で分野別に満足度の変化をみていくと、「家計と資産」や「雇用環境と賃金」に関しては、男女、また全年代で満足度は低下。やはり、物価上昇ほど収入が上がらず、生活は苦しくなるばかり、という状況が反映されています。

 

そんな生活苦の状況は深刻さを増しているよう。厚生労働省『生活保護の被保護者調査(令和5年5月分概数)』によると、生活保護を受ける人は202万1,060人で、前年同月比で0.1%の減少。一方で世帯数は164万8,101世帯で前年同月比で0.5%の増加。また保護申請数は2万2,680件となり、こちらは11.4%増と大きく増えました。

 

保護世帯を詳しくみていくと、全体の55.6%と半数以上を占めるのが高齢者世帯。特に“おひとり様”が圧倒的に多く、84万4,229世帯と前年同月比0.4%の増加。一方で2人以上の高齢者世帯は3.8%の減少となりました。

 

高齢者世帯を除く72万8,709世帯で多いのが障害者・傷病者世帯で40万7,290世帯。前年同月比0.9%増。そして貧困問題でクローズアップされる母子世帯は6万4,503世帯。前年同月比4.4%の減少となっています。この減少が一時的なものなのかは今後も注視していく必要がありそうです。

 

おひとり様の高齢者はそもそも数が増加傾向。65歳以上の6人に1人は単身者とされ、2040年には5人に1人の水準まで増加するとされています。もちろん、離婚したり、死別したりと、おひとり様の理由はさまざま。ただ経済的理由から結婚を断念したケースも多く、そのような場合、「高齢になり以前のように働けなくなった」→「収入減」→「もともと年金も少ない」→「生活費が足りない」というのが、ひとつのパターンとなっています。