1ドル150円、1ドル1ユーロなど、キリがよい価格帯ではいきなり相場の流れが変わることがあります。それまでは順調に含み益を伸ばしていたのに、キリがよい価格に差し掛かったときに、急に反発をして大損した経験がある人もいるでしょう。一体なぜそのようなことが起きるのか、キリのよい価格帯での値動きの特徴と、相場が急変する理由について、株式会社ソーシャルインベストメントの清水一喜氏が解説します。
「1ドル150円」で相場の流れが〈激変〉→〈初心者トレーダーが大損〉のよくあるパターンの正体【FXのプロが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

大きな相場の流れを作る人の正体

為替相場が動くには必ず理由が伴います。さまざまな目的が混じり合う為替相場で、小さな値動きに原因を求めることは難しいですが、急騰や急落など大きな変動が伴う場合、原因を追求することがある程度可能です。一体、FX初心者が大きな損切りをしてしまうような大きな相場の流れを作っているのは誰なのでしょうか。

 

テクニカル的に考えると、大きな相場の流れを作るには膨大な資金と果てしない取引量が必要です。個人トレーダーとは比べ物にならないほど大きな資金力がある大口トレーダーは、通貨にもよりますが、ひとりで相場の流れを作ることも可能です。

 

また、最新のAIを用いたトレードを行えば、超短期間で莫大な取引量をこなすことも可能です。経済指標の数字やキーワードを判別するAIは、指標発表後、1秒もかからずして情報を処理し、莫大な取引量をこなすことができます。人間では到底追いつかないスピードで情報処理するAIも相場の流れを作るトレーダーといえるでしょう。

 

為替レートがキリ番付近の場合、大口のトレーダーもAIも為替変動に着目しています。個人トレーダーとは比べ物にならない資金量でエントリーポイントを狙う大口トレーダーと、キリ番で大きな取引をするようにプログラムされているAIが同じ方向に建玉を持つと、それまでとは真逆の反発が起こります。

 

相場の流れを作る人が誰かを知っているプロトレーダーは、明らかに大きすぎる反発を確認すると、それまでのトレンドとは逆の巻き返しが生まれる可能性を察知します。そして、プロトレーダーは臨機応変に急激な値動きに対応して大きな利益を得るのです。

 

個人トレーダーが相場の流れを作るのは難しく、個人トレーダーは大きな相場の流れをいち早く察知して、新しい流れに乗っていくことが求められます。

個人トレーダーは「トレンドフォロー」を意識する

節目の価格は個人トレーダーだけでなく、大口トレーダーやAIなどさまざまなトレーダーが注目しています。大きな資金力を持つトレーダーにとって、キリ番周辺の価格帯は大きな収益チャンスです。

 

しかし、FX初心者や資金力の小さいトレーダーは、上下に乱高下するキリ番周辺の為替変動に翻弄されてしまいます。乱高下によって資金を枯らさないためにも、トレンドフォローを意識することが大切です。

 

個人トレーダーでは自分でトレンドを築くのは不可能です。発生したトレンドについていくだけと考えると気持ちが楽になり、収益向上に繋がります。FX初心者であるならなおさら相場を難しく考えず、エントリールールをシンプルにしていくべきでしょう。

 

 

清水 一喜

株式会社ソーシャルインベストメント 

執行役員