1ドル150円、1ドル1ユーロなど、キリがよい価格帯ではいきなり相場の流れが変わることがあります。それまでは順調に含み益を伸ばしていたのに、キリがよい価格に差し掛かったときに、急に反発をして大損した経験がある人もいるでしょう。一体なぜそのようなことが起きるのか、キリのよい価格帯での値動きの特徴と、相場が急変する理由について、株式会社ソーシャルインベストメントの清水一喜氏が解説します。
「1ドル150円」で相場の流れが〈激変〉→〈初心者トレーダーが大損〉のよくあるパターンの正体【FXのプロが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

チャートが大きく変動する要因

トレードを行っていると、チャートが大きく動く場面に遭遇することがあると思います。日本時間で大きく動くこともあれば、米国時間で大きく動くこともあります。さまざまな時間帯で大きく変動する主な理由は、「ファンダメンタルズ的なサプライズ」と「テクニカル的なサプライズ」の2種類あります。

 

1つ目のファンダメンタルズによって起こる為替変動の特徴は、重要な経済指標の発表や経済イベントの直後に起こります。市場の共通認識を否定する発言や経済指標の結果による市場の混乱により、ポジションを解消するトレーダーが相次ぐことによって急な為替変動が起こります。ファンダメンタルズに要因がある為替市場の急変は、重要指標の発表の時間を避けることによって、急変に巻き込まれる可能性を低くすることができます。

 

2つ目のテクニカル的サプライズによって起こる為替変動とは、大きな注文やロスカットを巻き込むことによって起こります。多くのトレーダーが注目する場面では、同じ価格帯で大量のオーダーが入っていることがあります。個人トレーダーの損切り注文や大口トレーダーの新規注文など、注目されている価格帯ではさまざまな思惑が交わっています。オーダーによる急変動は事前に予想しにくいため、FXトレーダーとしての経験が役立つ場面でしょう。

多くのトレーダーが注目する「キリ番」とは?

キリ番とは「切りのよい番号(価格)」のことを指します。たとえば、ドル円であれば「1ドル=150円」、ユーロドルであれば「1ドル=1ユーロ」などの価格帯を指します。キリ番周辺では逆張りのポジションが多く入る傾向があります。

 

キリ番は心理的に買いやすい(または売りやすい)価格であると同時に、大口トレーダーやAIを利用したシステムトレードなどが介入しやすい価格帯です。そのため、たとえばそれまで下落トレンドだったチャートがキリ番付近でいきなり猛反発して、それまでの流れを振り出しに戻す展開が多々起こります。

 

FX初心者はそのような急激な為替変動にはついて行けず、損切りを行う結果になってしまいます。