物価が上がると、同じ金額で同じモノが買えなくなります。お金を守るためには、物価上昇を上回る利益を得られるよう「投資」で増やしていくことも重要です。では、どのタイミングで始めればよいのでしょうか。また、どのような方法で投資を行うべきでしょうか。FPの横山光昭氏による著書『知識ゼロですが、無理なく増えるお金ルーティン教えてください。』(インプレス)から、一部抜粋して紹介します。
生活費1.5ヵ月分の「貯蓄」があるなら今すぐ「積み立て投資」を始めないと損な理由【FPの助言】 ※画像はイメージです/PIXTA

投資の基本は長期・積立・分散

投資で得られる利益には「分配金」と「値上がり益」があります。リスクを抑え、安定した値上がり益を狙うためにも、「長期」「積立」「分散」の三原則が大切になります。

 

先生:投資は利益をみんなで分けると説明したよね? この「分配金」が、投資家が得られる利益の1つなんだ。

 

生徒:ほかにもあるんですか?

 

先生:もう1つは「値上がり益」。投資は株式や投資信託といった金融商品の取得を通じて行うんだけど、金融商品の価格自体も変化するんだ。もし買ったときより売ったときの価格が高ければ、その差額が利益になるよ。

 

生徒:ということは、値下がりで損するケースもある?

 

先生:そのとおり。だからこそ、価格変動のリスクを抑えた投資が大切なんだ。具体的には「長期」「積立」「分散」の三原則を守ること。購入タイミングや投資先を分けて長く投資することで、値動きの影響を少なくするんだ。

 

生徒:でも、安く買って高く売れれば、絶対に利益が出ますよね。

 

先生:理屈のうえではそれが理想だけど、いつ、どう価格が変わるかは予測が難しい。それに、値下がりも悪いことばかりじゃない。同じ資金でたくさん購入できるメリットがあるよ。購入数が増えれば、将来値上がりしたときの恩恵も大きくなるんだ。

 

生徒:値下がりもチャンスなんですね。

 

先生:ポイントは相場を気にせず、「長期」「積立」「分散」投資を続けること。投資信託はそれにぴったりな商品といえるね。

 

「分配金」とは……投資信託の分配金には普通分配金と特別分配金の2種類がある。主な違いは税金のかかり方で、普通分配金は課税対象、特別分配金は非課税扱いとなる。なお、株式では分配金を「配当」と呼ぶ。

 

◆三原則でリスクを回避

単一商品への短期間投資は、値下がりの影響が大きいです。「長期」にわたって資金を少しずつ「積立」し、投資先を「分散」することで、それぞれの価格変動の影響を抑えられます([図表3]参照)。

 

[図表3]投資の三原則「長期・積立・分散」のメリット

 

◆変動相場こそ積立が強い

同じ金額を分散して投資すると、価格が高いときは購入数が減り、低いときは増えます。

 

これをくり返すことで全体の購入価格が平準化され、将来の値上がり時の恩恵が大きくなります。

 

この投資方法を「ドルコスト平均法」といいます。

 

ドルコスト平均法……価格が変動する商品に対して、定期定額で積立を続ける投資方法([図表4]参照)。値下がり相場では、積み立てるほどに全体の平均購入価格が下がっていく。

 

[図表4]積立と相場の進行イメージ