※本記事では、著者・横山光昭先生(以下、先生)と、会社員の中野美佐紀さん(以下、生徒)の対話形式で解説します。
1.5カ月分の生活費があるなら投資を検討!
投資はギャンブルと違い、多くの人の利益を目指す仕組みです。家計を見直し、預貯金にもある程度ゆとりが出てきたら、投資でお金を増やすことも検討していきましょう。
先生:中野さんは投資とギャンブルの違いってわかる?
生徒:同じじゃないんですか?
先生:投資は集めたお金をもとに企業が事業をして、増えた利益をみんなで分け合うんだ。投資家の資産は全体で見ると増えてるね。
ギャンブルは集めたお金の大半を運営元が受け取り、一部の人だけに還元する。全体の利益は増えていないし、損する人も多い仕組みといえるよ。
生徒:投資は勝ち負けではなくて、みんなの利益を目指すんですね。ちょっと安心……でも、さすがに貯蓄が優先ですよね?
先生:そうだね。いざというときに備えて、7.5カ月分以上の生活費を確保してから始めるのが理想だけど、もし時間がかかりそうなら併走するのもありだよ。少なくとも1.5カ月分の預貯金があるなら投資を始めてOK。
生徒:それなら、もう少しで始められそうです!
先生:投資は期間が長いほど高い効果が期待できるから、なるべく早くから始めるのがポイント。
たとえば、家計の黒字部分が月3万円だとしたら、預貯金に2万円、投資に1万円のように割合を決めて両立させていこう。預貯金が7.5カ月分貯まったら、投資割合を増やしていくことも考えたいね。
投資と投機……投資の類似用語の「投機」は短期間で利益を得ようとする行為。ある資産の価格の動きを予測し、上がるか下がるかにかけて売買を行う。誰かが勝った分だけ、同額負けた人が必ず生まれる仕組み。
◆投資とギャンブルは別物!
企業に利益が出ているとき、その企業に投資した人はみんな恩恵を受けます。これに対し、ギャンブルは1回のゲームで必ず敗者が出ます。確率でいえば、マイナスのほうが多くなる仕組みです([図表1]参照)。
投資は「プラスサム」、ギャンブルは「マイナスサム」といわれることがあります。
「プラスサム」とは……参加者全員の利益合計が、投資額や集金額に対してプラスになること。合計がマイナスになる場合はマイナスサム、負け分を勝った人が総取りするなど、合計が変わらない場合はゼロサムという。
◆貯蓄が少しでも投資を始めてOK!
投資は早くから始めたほうがいいものの、預貯金がまったくない状態は避けたいところ。
少なくとも1.5カ月分の生活費を貯蓄として確保してから投資との併走をスタートさせましょう([図表2]参照)。