物価が上がると、同じ金額で同じモノが買えなくなります。お金を守るためには、物価上昇を上回る利益を得られるよう「投資」で増やしていくことも重要です。では、どのタイミングで始めればよいのでしょうか。また、どのような方法で投資を行うべきでしょうか。FPの横山光昭氏による著書『知識ゼロですが、無理なく増えるお金ルーティン教えてください。』(インプレス)から、一部抜粋して紹介します。
生活費1.5ヵ月分の「貯蓄」があるなら今すぐ「積み立て投資」を始めないと損な理由【FPの助言】 ※画像はイメージです/PIXTA

※本記事では、著者・横山光昭先生(以下、先生)と、会社員の中野美佐紀さん(以下、生徒)の対話形式で解説します。

 

1.5カ月分の生活費があるなら投資を検討!

投資はギャンブルと違い、多くの人の利益を目指す仕組みです。家計を見直し、預貯金にもある程度ゆとりが出てきたら、投資でお金を増やすことも検討していきましょう。

 

先生:中野さんは投資とギャンブルの違いってわかる?

 

生徒:同じじゃないんですか?

 

先生:投資は集めたお金をもとに企業が事業をして、増えた利益をみんなで分け合うんだ。投資家の資産は全体で見ると増えてるね。

 

ギャンブルは集めたお金の大半を運営元が受け取り、一部の人だけに還元する。全体の利益は増えていないし、損する人も多い仕組みといえるよ。

 

生徒:投資は勝ち負けではなくて、みんなの利益を目指すんですね。ちょっと安心……でも、さすがに貯蓄が優先ですよね?

 

先生:そうだね。いざというときに備えて、7.5カ月分以上の生活費を確保してから始めるのが理想だけど、もし時間がかかりそうなら併走するのもありだよ。少なくとも1.5カ月分の預貯金があるなら投資を始めてOK。

 

生徒:それなら、もう少しで始められそうです!

 

先生:投資は期間が長いほど高い効果が期待できるから、なるべく早くから始めるのがポイント。

 

たとえば、家計の黒字部分が月3万円だとしたら、預貯金に2万円、投資に1万円のように割合を決めて両立させていこう。預貯金が7.5カ月分貯まったら、投資割合を増やしていくことも考えたいね。

 

投資と投機……投資の類似用語の「投機」は短期間で利益を得ようとする行為。ある資産の価格の動きを予測し、上がるか下がるかにかけて売買を行う。誰かが勝った分だけ、同額負けた人が必ず生まれる仕組み。

 

◆投資とギャンブルは別物!

企業に利益が出ているとき、その企業に投資した人はみんな恩恵を受けます。これに対し、ギャンブルは1回のゲームで必ず敗者が出ます。確率でいえば、マイナスのほうが多くなる仕組みです([図表1]参照)。

 

投資は「プラスサム」、ギャンブルは「マイナスサム」といわれることがあります。

 

[図表1]投資とギャンブルの違い

 

「プラスサム」とは……参加者全員の利益合計が、投資額や集金額に対してプラスになること。合計がマイナスになる場合はマイナスサム、負け分を勝った人が総取りするなど、合計が変わらない場合はゼロサムという。

 

◆貯蓄が少しでも投資を始めてOK!

投資は早くから始めたほうがいいものの、預貯金がまったくない状態は避けたいところ。

 

少なくとも1.5カ月分の生活費を貯蓄として確保してから投資との併走をスタートさせましょう([図表2]参照)。

 

[図表2]貯蓄と投資の進行イメージ