物価が上がると、同じ金額で同じモノが買えなくなります。お金を守るためには、物価上昇を上回る利益を得られるよう「投資」で増やしていくことも重要です。では、どのタイミングで始めればよいのでしょうか。また、どのような方法で投資を行うべきでしょうか。FPの横山光昭氏による著書『知識ゼロですが、無理なく増えるお金ルーティン教えてください。』(インプレス)から、一部抜粋して紹介します。
生活費1.5ヵ月分の「貯蓄」があるなら今すぐ「積み立て投資」を始めないと損な理由【FPの助言】 ※画像はイメージです/PIXTA

まずは月1万円を積み立ててみよう

どうして早くからの投資がいいのでしょうか? 投資に回しているお金には、期間に応じて運用益が上乗せされます。現金だと資産は貯めた分だけ。この差がメリットなのです。

 

生徒:投資は少額から始めてもいいんですか?

 

先生:大丈夫。投資で大事なのは無理のない範囲で、早く始めることだからね。ただ、少額すぎても投資効果を実感しづらいから、まずは月1万円を目安に積み立ててみよう。

 

生徒:早くから始めるメリットってそんなに大きいんですか? まとまった金額を用意してから一気に投資したほうが、どーんとお金も増えそうですけど。

 

先生:ちょっとシミュレーションしてみようか。たとえば月1万円を貯金して30カ月後に30万円を投資した場合と、月1万円を積立投資した場合。30カ月目の元本は同じ30万円だけど、投資をしていた場合はさらに30カ月分の運用益も上乗せされる。

 

この前に説明したように、値下がりリスクも防げる。これが少額でも早くから投資する理由なんだ。

 

生徒:現金で用意している間に、投資を始めたほうはどんどん資産を増やしているんですね。貯めているだけの期間はもったいないかも……。

 

先生:もちろん、投資には値下がりリスクがあるから、減る心配の少ない預貯金はある程度あったほうがいい。それでも、投資をしない期間の機会損失は見過ごせないから、少しずつ始めるのが大切なんだよ。

 

「利回り」とは……投資金額に対する利益のこと。一般的には年単位の収益の割合を指し、「年利」とも呼ぶ。利回りが大きいほど、投資によって得られる利益も大きいと判断できる。利益には利子や分配金、値上がり益も含む。

 

◆短期集中より少額でも早くから!

投資の利点はお金自体が働いて、お金を増やしてくれる点にあります。同じ30万円を投資する場合でも、30万円を貯めてからまとめて投資するより、少しずつ投資して元本を30万円にしたほうが、同じ時点の資産額に大きな違いが生まれるのです([図表5]参照)。

 

[図表5]少額でも早くから投資をすべき理由

 

◆複利の効果でどんどん増える

運用で得た利息(利益)を再び運用に回すと、利息にも利息がつきます。

 

これが「複利の効果」です。最初は小さな利息でも、時間をかけて積み重ねると徐々に大きくなり、資産の増え方も加速します([図表6]参照)。

 

[図表6]年利10%の場合の「複利効果」

 

「単利・複利」とは……利息のつき方には「単利」と「複利」の2種類がある。単利は元本にしか利息がつかないため、毎回一定額となる。一方複利は利息に利息がつくため、徐々に金額が大きくなる。

 

 

横山 光昭

家計再生コンサルタント

株式会社マイエフピー代表