老後を見据えた資産形成。どのような方法で進めるかは人それぞれですが、年金を受け取る65歳までに安心できるだけの資産を築いておきたいものです。しかし65歳になったからといって、資産運用を止めていいのかといえば、「人生100年時代」の現代において、その判断は難しいといわざるをえません。そこで考えたいのが「高利回り」かつ「安全」にお金を増やす方法です。みていきましょう。
平均年金「月14万円」だが…65歳から始める「高利回り」で「安全」にお金を増やす方法 (写真はイメージです/PIXTA)

年8.4%…「年金の繰下げ」を投資と考えると

日本人は資産の半分が預貯金で、株式や投資信託は4分の1程度。一方、アメリカは株式や投資信託が半数程度を占める……リスクを嫌う日本人の特徴をよくあらわした結果ですが、どのような方法であれ、老後までに十分な資産を築くことができれば何も問題はありません。

 

年金支給が始まるのは、現在、原則65歳。厚生労働省によると、国民年金受給者の平均受取額は月額5万6,479円、厚生年金受給者では月額14万5,665円。この年金額で十分かどうかは人によって異なりますが、老後は現役時代のように給与所得がなく貯蓄が減っていく一方なので、「資産運用(投資)の止め時が分からない……」と多くの人が感じているでしょう。

 

そこでおすすめとされているのが「年金の繰下げ」。老齢基礎(厚生)年金を、65歳で受け取らずに66歳以後75歳までの間で繰り下げて受け取るというもので、繰り下げた期間によって年金額が増額されその増額率は一生変わりません。

 

その総額率は1ヵ月ごとに0.7%、1年で8.4%です。国民年金を満額受給できるなら月6.6万円。1年間で年金は「月6.6万円から月7.15万円」に、5年で「月6.6万円が月9.3万円」に、10年で「月6.6万円から月12.1万円」に増額となります。

 

「年8.4%」の投資と考えると、これほど高利回りで安全な方法は「そうそうない」というのが専門家の声。年金の繰下げは老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々に行うことも可能なので、一方を受け取り、一方は投資感覚で繰下げをする、というのもひとつの選択肢です。

 

もちろん投資と考えるなら、リスクだってあります。それは「亡くなるリスク」。年を取るほど病気になるリスクは高まり、「亡くなったら年金を受け取れない」というリスクも考慮する必要があります。75歳まで繰下げ受給をした場合、87歳が損益分岐点。それ以降は65歳で年金を受け取るよりも“お得”になります。

 

どのような方法であれ、まずは将来に叶えたいライフスタイルと、それに対して必要な資産額をシミュレーションすることが、資産形成の第一歩。あとは自分が許容できる範囲でリスクを取りながら、コツコツと進めていくことが正攻法です。