いつかは叶えたい夢であるマイホーム。検討の第一段階は「どのような価格の物件を買うことができるか」ということを知ること。身の丈に合った予算を決めることが鉄則であるものの、一生に一度の大きな買い物だからと、やっぱり無理をしてしまう人も多いようです。その先に待っていることとは……みていきましょう。
月収33万円・30代の幸せ家族「駅前にタワマンできるって!」憧れを叶えても、ローン破綻を意識する月返済額「こんなはずでは」 (写真はイメージです/PIXTA)

駅前好立地に続々…郊外タワーマンションに群がるサラリーマン家族だが

不動産経済研究所によると、首都圏の新築マンションは平均8,068万円。東京23区では1億1,475万円と1億円を超え、庶民には驚愕の価格です。都心の高額マンションが平均を異常に押し上げている側面があり、郊外の価格を見渡せば、東京都下であれば4,911万円、神奈川県は6,078万円、埼玉県4,939万円、千葉県4,837万円と、決して安くはないですが、一般の会社員でも検討できるだろう価格です。

 

このような状況下、最近の新築マンションのトレンドといえば、駅前のタワーマンション。規制緩和と駅前の再開発がセットとなり、「タワーマンション×駅前一等地」といったプロジェクトが、郊外を中心に目白押し。郊外のタワマンでも上層階ともなると億超えも珍しくありませんが、低層階であれば一般のサラリーマンでも検討できる価格です。しかも駅チカだったり、駅直結だったりと、とにかくロケーションが魅力。物件によっては商業施設が併設しているなど、生活利便性も申し分ありません。そのため、いまや郊外のタワマンは、都心への通勤が必須のサラリーマン家族から人気だといいます。

 

――駅前に、タワマンができるんだって!

 

そんな憧れをもとにモデルルームの見学へ。街のランドマークになるタワーマンション。そんなところに住めたなら……夢はどんどん膨らんでいきます。ただネックなのが、一般のサラリーマンでも買える価格とはいったものの、その希少性から周囲の物件に比べて2~3割ほど割高、ということ。東京都郊外の平均価格から考えると、6,000万円を超えるようなイメージです。30代サラリーマンであれば、頭金を考えなくても、年収負担率ギリギリいっぱいの35%程度で買える計算です。

 

――少し駅を離れたら、もう少し安く買える新築マンションがあるけど、でも駅前はやっぱり魅力! 通勤も便利だし

 

そう、ちょっと頑張ってタワマン購入に踏み切るサラリーマン家族が、最近増えているといいます。「年齢があがれば年収もあがるし……」「共働きだから、大丈夫」など、色々と言い訳をつけて手に入れる幸せ。もちろん、“読み”通り、住宅ローン返済が進められるかもしれませんが、万が一のときは悲惨です。

 

たとえば給与減。前出のとおり、年功序列がまだ色濃く残る日本企業では、年齢が上がれば給与も上がることがなんとなくみえています。しかし今回のコロナ禍のような事態が、再び起こらないとは言い切れません。実際にコロナ禍では、ローン滞納者が2倍、3倍に増えたといいます。

 

またライフステージにおいても予想だにしなかった事態が起きることも。家族が病気に、親の介護に、まさか子どもが海外留学を希望……そんな思いがけない出費を余儀なくされることもあるでしょう。このようなことが起きたら、途端、ローン返済は厳しくなります。

 

――こんなはずではなかったのに……

 

ローン返済が滞り、最悪、破産という結果になることも。もちろん、ギリギリいっぱいでも夢のタワマンを実現させるか、それとも諦めて身の丈に合ったマイホームを実現させるかは、それぞれ家族の価値観。「正解はこれっ」というものはありません。ただローン返済は何十年と続くもの。その間に起こるであろう不測の事態も想定したうえで決断するのが鉄則です。