変形性股関節症は「早期発見・早期治療」が肝心
変形性股関節症は近年、日本で患者数が急増しています。X線診断による変形性股関節症の推定患者数は120万~510万人とされ※、潜在的な患者数を含めるとこれより多いとみられています。
※ (参考)一般社団法人日本関節病学会「初級編★『変形性股関節症』の基本」(https://jsjd.info/archives/818)
しかし、せっかく「腰が痛い」といって整形外科を受診しても、腰に異常が見つからなければ「とりあえず様子を見ましょう」となってしまうことが多いです。なぜなら、患者の主訴が「腰痛」である場合、腰しか検査をしない整形外科が少なくないからです。
しかし、股関節にまで視野を広げれば痛みの原因が見つかる可能性は高まります。また、変形性股関節症を発症している場合、初期のうちに発見できれば、症状の進行を抑制できます。変形性股関節症は自然治癒することがないため、いかにして症状を早期のうちに食い止めるかが重要です。
したがって、「腰になにも異常が見つからない腰痛」は、股関節まで検査範囲を広げることがポイントです。
そのほか、変形性股関節症はある程度、セルフチェックで見当をつけることができます。
以下の項目に1つでも当てはまる場合には、変形性股関節症の専門医による診察を受けることをおすすめします。
●靴下が履きにくい
●階段を昇り降りしづらい
●スカートやズボンの丈が左右で合わない
●あぐらがかけない
●家族や親戚に股関節の病気を抱えている人がいる
◆まとめ
変形性股関節症は、初期症状に気づきにくく、痛みを感じた際には症状が進行しているケースもあります。そのままにしていると痛みが慢性化するだけでなく、「歩行が困難になる」「外出が億劫になる」など、QOLを著しく低下させることにつながります。
原因不明の腰痛に悩んでいる場合には、一度、股関節の疾患を疑ってみることをおすすめします。
狩谷 哲
東京ヒップジョイントクリニック
院長
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