内科医、整形外科医に次いで医師数の多い「小児科医」。子どもの健康を守るやりがいのある仕事ですが、他の診療科とは異なる「小児科医ならでは」の過酷な労働環境があると、東京西徳洲会病院小児医療センターの秋谷進医師はいいます。他の診療科目と比較しながら、“懐事情”を含めた小児科医の実態をみていきましょう。
勤務医と開業医で「2,000万円」の所得格差も…子どもの未来を守る「小児科医」驚きの給与額【現役小児科医が激白】 (※写真はイメージです/PIXTA)

小児科医になるまでの「茨の道」

子どもたちは未来の希望です。その未来を守るために、小児科医も日々奮闘しています。そんな小児科医ですが、なるにはどれだけ大変かご存知でしょうか。

 

小児科医になるためには、まずは医学部への進学がその第1歩です。

 

みなさんもご存知の通り、たとえ他の大学と比較して偏差値が低い大学であっても、医学部というのは他の学部より圧倒的に偏差値が高く、それ相応の知識と努力が必要であることがわかります。入学までもハードルがありますが、入ったあともみっちり6年間学習し、医師の国家試験に合格し、医師免許を取得する必要があります。

 

その後、2年間の初期臨床研修を経て、小児科の医局に入局したり、市中病院でキャリアアップをすることで小児科医になります。

 

小児科は「特別な科」

実は、病院によっては特別な臨床研修カリキュラムが組まれているほど、小児科は「特別な科」のひとつです。

 

なぜ特別なカリキュラムが組まれているのかといえば、子どもの身体というのは、「単に大人を小さくしたものではない」からです。子どもの体の大きさや機能は、その年齢や月齢によって大きく変わるため、その時々に応じた診療や投薬を行う必要があります。

 

また、小児科の診療は、内科や皮膚科、アレルギー科などのように診療科が分かれていないため、あらゆる科の幅広い知識を持って治療をすることが求められます。小児喘息や小児感染症といった子ども特有の病気に関する知識も必要です。

 

さらに、小児科専門医になるためには、臨床研修が終了したあとも学会の指定した専門医研修施設(専門医研修関連施設を含む)において3年以上の専門医研修を修了しなければいけません。そのうえで、専門医試験および審査に合格することが条件となります。

 

小児科医になるための「道」は、かなり険しいものであることがよくわかりますね。