熟練の投資家たちが注目する「フィリピン不動産投資」
昨今、一部の富裕層やアンテナの高い投資家たちに注目されているのが、フィリピン不動産投資だ。以前は新興国ならではのリスクばかりが強調されることも多かったが、近年では投資環境が整ってきたことで、投資初心者であっても安心して投資できるようになりつつある。
河原氏「私は今から13年前に初めてフィリピンへ行きました。当時のフィリピンは治安も悪く、とても不動産投資をできるような環境ではありませんでした。しかし、半ば投げやりな気持ちもあり、当時600万円の物件を購入。購入したときは「本当にこの物件建つのかな?」と半信半疑だったんですが、本当に建ったんですね。そして、物件価格は2倍以上になりました。
はっきり言って13年前のフィリピンではキャピタルゲインしか狙えませんでした。しかし今では不動産賃貸の市場も良い状態を維持しているため、インカムゲインも十分に狙える環境が整っています」
そう語るのは、フィリピン不動産投資のコンサルティング事業を展開する、株式会社ELITEの河原一聖社長。実際、フィリピンにも自身の拠点を置き、現地の不動産事情をリアルタイムでサーチする河原氏は、フィリピン不動産の現状と、この地で不動産投資を始める利点について、どのように捉えているのだろうか。
伸びしろのある「フィリピン」で投資をするということ
河原氏「フィリピンでは人口が既に1億人を超えているうえに、人口も経済も極めて高い水準で伸びているのが特徴的です。(図表1)
フィリピン現地における賃貸住宅のニーズはかなり高くなってきており、今後も高まることが予測されます。すなわち、不動産投資における賃貸需要が安定し、投資家に収益をもたらす可能性も高いと言えます。
私はフィリピンが国として今後も伸びていくと確信しているし、現地の人たちも明るい未来を信じていますね」
フィリピン不動産投資のメリット・デメリット
今後の伸びしろを大いに感じさせるフィリピンだが、不動産投資という観点で見た場合のメリットとデメリットについて、河原氏に聞いてみた。
河原氏「フィリピン不動産投資が持つ最大のメリットは、物件価格の安さと利回りの高さですが、安定性の高さも見逃せないポイントです。
東南アジアでの不動産投資というと、現地の人はお金を持っていないことも多く、結果的に外国人駐在員などの入居を狙わざるを得ない側面があります。しかしフィリピンでは、現地人に向けた賃貸経営でも、しっかりと利益を出すことができるのです。
というのも、フィリピン人の暮らし方は日本とは異なり、1つの家に1人で住むことがほとんどありません。たとえば、ワンルームのような狭い部屋でも、5~6人の成人を含む1家族で住んでおり、成人各人が家賃・光熱費・食費などの生活費を分担して支払うスタイルが主流となっています。生活費を分担して支払うことで、家族1人1人の負担がそこまで大きくならないため、家賃を回収できないという事態が起こりにくいのです。
さらに、フィリピン人の平均月収もこの10数年で4〜5倍に上がってきているので、家賃の回収に困ることも考えにくいと言えます」
一方で、フィリピン不動産投資のデメリットは、当社のような不動産エージェントが必ず必要になるという点です。日本人投資家はフィリピン現地で銀行口座を開設できないため、家賃を受け取るためには現地の銀行口座を持つ不動産エージェントを通す必要があります。
不動産エージェントのなかには、物件購入のサポートと賃貸管理もやるところがありますが、質の悪い業者も多いのが実態です。質の悪い業者に当たってしまうと、物件購入の際、買主が物件を買ってお金を支払った途端に行方をくらましたりすることもあります。また、物件購入後のアフターフォローを高いレベルでできる業者は少ない印象です」
フィリピン不動産投資は毎月「3万円」から始められる
良質な不動産エージェントにさえ出会うことができれば、メリットが多いように感じられるフィリピン不動産投資。これから不動産投資で資産形成を始めようと考えている人にとっても、狙い目とも言えるだろう。であれば、気になるのはやはり費用面だ。
河原氏「フィリピン不動産投資の利回りは、大体8%くらいです。物件価格はおおむね1,000万円からで、2,000万円くらいからがボリュームゾーンになっています。たとえばフィリピンの首都マニラでは、東京の不動産と比べて4分の1ほどの価格で物件を購入できます。(図表2)
また、フィリピンではプレビルドのコンドミニアムを購入できるのですが、プレビルドの場合、ローンを使うのではなく、分割払いで購入できます。ローンと違って金利の支払いが不要なため、利益を上げやすいのが特徴です。物件価格にもよりますが、分割払いの金額は最低3万円/月まで下げられます」
「フィリピン不動産」の真の魅力
高騰が止まらない都心部の不動産には手が届かなくても、フィリピンであれば、不動産投資という選択肢が出てくる。そんな人も少なくないのではないだろうか。河原氏が語るように、世界全体を見渡しても、フィリピンがこれから間違いなく伸びてくる国だということは自明と言えるだろう。
河原氏「世界情勢を見たときに、アメリカ一強の世界情勢は崩れつつあります。アメリカの次の覇権国がどこかと考えたときに、名前が挙がるのは中国やインドでしょう。しかし、中国は不動産市場が良くないうえに、そもそも物件を買えません。また、インドは識字率が低い国なので、入居者のことを考えたときに投資先としては厳しいです。
次の選択肢に挙がってくるのは、東南アジアかアフリカでしょう。しかし、アフリカは民族が多すぎるうえに奴隷制を敷いてきた歴史があります。社会構造を見たときに、国としての伸びしろは小さいと言わざるを得ません。事実、アフリカ諸国はこれまでODA(政府開発援助)を5兆円以上も受け取ってきましたが、大きな変化は起きていないのが実状です。
手堅い選択肢として最後まで残るのが東南アジアです。東南アジアのなかでも、フィリピンを他の国と比較してみましょう。
共産主義であるベトナムは、将来的に国の意向によって財産を没収される可能性があるためリスクが発生します。また、カンボジアも内政不安がないとは言い切れません。タイは経済指標や平均年齢などを考慮すると、国としての伸びしろが小さいと言わざるを得ません。
視野を世界まで広げてみても、資本主義国で内情が安定している点や、さらに人口増加率や経済成長率などを加味すると、海外で不動産投資を始めるにあたり、一番可能性を感じるのはフィリピンだと言えます」
河原 一聖
株式会社ELITE
代表取締役