富裕層のあいだでポピュラーな相続税対策のひとつだった「タワマン節税」に関し、一部報道によれば、国税庁がマンションの相続税評価額の算定方法の新ルールを設ける見通しであることが判明しました。施行されればタワマン節税の旨味は大幅に失われます。そこで本記事では、FP1級の川淵ゆかり氏が、タワマン節税の内容と問題点、導入されるとみられる新たな算定方法について、わかりやすく解説します。
算定法見直しで「タワマン節税」終焉へ!きっかけとなった「最高裁判決」相続税0円→3億円課税で相続人撃沈【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「マンション節税」「タワマン節税」とは?

国税庁が過激な「マンション節税」や「タワマン節税」の防止のため、相続税の算定ルールの見直しを決めました。新たに乖離率による算定方法を導入し、高層階ほど税額が増えていく仕組みです。相続税の負担が現行に比べかなり大きくなりますので、マンションをお持ちの方はご注意ください。現行制度で高層マンションやタワーマンションが大きな節税効果が出る理由は、次のように土地や建物の相続税評価額を低く抑えることができるためです。

 

1.土地の評価額が下がる

土地の相続税評価額については路線価で評価を行います。一般的な土地では、時価の80%程度となりますが、マンションの場合には、さらに土地の持分割合により非常に低くすることができます。たとえば、床面積が同じ100戸のマンションの場合では、土地の面積に対する持分を100分の1にすることができる、というわけです。高ければ高いほど戸数も増えるため、タワーマンションは持分割合が低くなり、土地の評価額も相当低くなることから人気があるわけです。

 

2.建物の評価額が下がる

建物の相続税評価額は固定資産税評価額となり、時価の60%程度になります。そのため、建物の評価額は一般的にも時価よりも低く評価されるのですが、タワーマンションの場合には、低層階も高層階も面積が同じであれば同じ評価額になるため、人気のある高層階ほど時価が高くなりますから、相続税評価額との差が大きくなって節税効果も大きくなります。

 

タワーマンションだと一般的に相続税の評価は時価の3割程度くらいまでに下がります。たとえば、1億円という現金での相続は1億円のままですが、1億円でタワーマンションを買っておけば3,000万円まで評価を下げることができるわけです。

 

以上のことから、現金で持っているよりもタワーマンションで人気の高階層を購入したほうが時価と評価額の差が大きくなり、節税対策となってお得になります。