富裕層のあいだでポピュラーな相続税対策のひとつだった「タワマン節税」に関し、一部報道によれば、国税庁がマンションの相続税評価額の算定方法の新ルールを設ける見通しであることが判明しました。施行されればタワマン節税の旨味は大幅に失われます。そこで本記事では、FP1級の川淵ゆかり氏が、タワマン節税の内容と問題点、導入されるとみられる新たな算定方法について、わかりやすく解説します。
算定法見直しで「タワマン節税」終焉へ!きっかけとなった「最高裁判決」相続税0円→3億円課税で相続人撃沈【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「タワマン節税」防止に向け、相続税の算定ルールを見直し

国税庁は6月30日に、2024年以降の適用を目途に、評価額を実際の市場価格の6割以上に引き上げるための新たな算定方法案を公表しました。タワーマンションだけでなく、時価に比べて大きく評価の下がるマンションも対象となりますので、マンションを所有している方はご注意ください。

 

新しい算定方法と相続税をみてみましょう。

 

【新算定の方法による相続税の計算】

 

時価:1億2,000万円従来の方法による評価額:4,000万円の場合

①乖離率を算出。1億2,000万円÷4,000万円=3.0倍

②乖離率が1.67倍以上の場合、「評価額×乖離率×0.6」で、新たな評価額とする。

つまり、4,000万円×3.0×0.6=7,200万円となる。

 

相続人を子ども1人のみ、相続財産はこのマンションだけとした場合の相続税は、

①従来の相続税額:40万円

②新たな評価額による相続税額:520万円

となり、480万円の増税となります。

 

乖離率が1.67倍を超えるかどうかがわかれ目になってきますが、マンションをすでに持っている人、これから購入をする人は、時価の6割を評価の目途に相続対策をしていく必要があります。

 

タワーマンション、今後の値崩れに要注意!

どうやらタワーマンションの人気は「眺望」だけでなく、「タワマン節税」にもあったようですね。タワーマンションは、現在全国に1,400棟以上もあるそうですが、現在建築中や建築予定のものも含めるとどれほどになるのでしょう。そんなタワーマンションですが、「タワマン節税」が見直しとなると、当然タワマン人気にも陰りが出てくるのではないでしょうか。

 

さて、タワーマンション購入で注意したいのが、購入後の「値崩れ」です。資産家の方は、相続税額よりも資産の値崩れのほうが気になる方も多いでしょう。せっかく購入したとしても資産価値が下がったり、希望の値段で売れなかったり、という状況になってしまうと不幸です。タワーマンションの値崩れリスクについてもみておきましょう。

 

今回のような節税防止策の発表も値崩れの要因になるかもしれませんが、ほかにもいろいろな値崩れリスクがタワーマンションや高級マンションにはあります。

 

まずは予想以上に高いといわれる管理費です。高級マンションは内廊下ですから、共用部分の照明や空調、高速エレベーターなど、けっこう電気を消費します。昨今の電気料金の値上がりは管理費にも影響します。さらに、コンシェルジュサービスやゲストルーム、プールやジム、ラウンジなどの共有施設やサービスも充実すればするほど金額はアップします。

 

また、こういった共有部分が増えるほど将来の修繕のための修繕積立金も大きくなります。新築のうちは売れるように低く抑えている管理費や修繕積立金も、住み続けるうちに値上げされる仕組みになっているマンションもあり、「長く住み続けられない」「価格を下げないと売れない」といったケースもあります。

 

そして、1番問題なのは「タワーマンションは自然災害に弱い」ということです。ただでさえ高層階はエレベーターの待ち時間や点検時の混雑がストレスなのに、災害や事故が発生すると安全が確認できるまでは階段での上り下りが必要になってきます。

 

以上のような値崩れリスクも念頭に、将来まで価格維持ができるようなマンションを選んでいきましょう。

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表