低金利が続くなか、子どもの教育資金をいかに効率よく貯めるかは、重要な問題です。従来は積立型の「生命保険」が大きな役割を果たしてきましたが、近年は「保険と貯蓄は分けて考える」というのがセオリーとなりつつあります。ただし、「学資保険」は利回りが低いながらも、なお活用のメリットはあります。なぜか。ファイナンシャルプランナーの坂本綾子氏が著書『子どもにかかるお金の超基本』(河出書房新社)から解説します。
「子どもの教育資金」を貯めるのに敢えて“低利回り”の「学資保険」をベースにするメリット【FPが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

教育資金の貯め方

◆毎月の積立額を決めて先取り貯蓄

子どもが生まれたらなるべく早くから貯めていきたいのは、大学などの教育資金です。生後すぐに始めれば約18年あります。

 

ただし、共働きなら3歳未満は保育料がけっこうかかり(所得により異なる)、高校生になると部活動の費用など子どもにかかるお金が増えます。

 

貯めやすい時期は、幼児教育・保育の無償化が始まる3歳から、義務教育の小・中学校まで。

 

理想は、子どもが生まれたらすぐに無理のない金額で毎月の積立を始めて、貯めやすい時期には積立額を増やすなどして残高を増やすこと。毎月、自動的に積立できる金融商品を使うのが確実に貯めるコツです。

 

[図表3]18歳までに(18年で)いくら貯まる?

 

◆高校3年生までに最低限100万~200万円

目標額は、進路や家計状況により違ってきますが、受け取る児童手当と同額くらい、金額にして90万円〜200万円程度は最低限貯めておきたいですね。

 

これくらいあると、受験費用と入学金および初年度前期の授業料をまかなえます。国・公立大学なら、もう少し足せば入学金と4年分の授業料(約240万円)になります。

 

例えば毎月1万円を18年積み立てると元本で216万円になります。これを目安に積立額を検討し、状況に応じて増減させながら続けます。

 

安全性の高い銀行の積立定期預金や、保障と貯蓄を兼ねる学資保険をベースに、並行して、収益性が高い投資信託を「つみたてNISA」で積み立てるのもいいでしょう。投資信託は価格変動するので、10年以上の時間をとれるなら候補になります。

教育資金を貯めるのに向いている金融商品

以上を前提に、教育資金を貯めるのに向いている金融商品をまとめます。

 

◆銀行の積立定期預金

毎月の積立額を決めて申し込むと、毎月、決まった日に普通預金から定期預金に積み立てられる。ボーナス月の増額も可能。途中で積立額の変更ができる。

 

◆生命保険会社の学資保険(子ども保険)

満期と満期金(学資金)を決めて申し込む。子どもと親の年齢により毎月の保険料は異なる。途中で満期金の変更はできない。中途解約すると元本割れする点に注意。

 

◆つみたてNISA

銀行や証券会社で、毎月の積立額、利用する投資信託を決めて申し込む。利益にかかる税金が非課税になる。積み立てられるのは年間40万円まで(2024年からは年間120万円に増える予定)。途中で積立額の変更ができる。

 

 

坂本 綾子

日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定CFP

1級ファイナンシャル・プランニング技能士

 

※イラスト作成:松岡 未来(ヤング荘)(『子どもにかかるお金の超基本』本文より)