2019年から「幼児教育・保育料の無償化」が実施されています。ただし、適用範囲は年齢等で区切られており、また、すべての費用が対象となるわけではありません。この制度の中身と留意すべき点について、子どもにかかるお金の問題に詳しいファイナンシャルプランナーの坂本綾子氏が著書『子どもにかかるお金の超基本』(河出書房新社)から解説します。
3歳から保育料が”無料”になる「幼児教育・保育費の無償化」とは?適用条件と「無償とならない費用」【FPが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

幼児教育・保育の無償化とは?

◆3歳から6歳の子どもが通える教育や保育の施設

3歳から小学校入学前の子どもが通えるのは、幼稚園、保育所、認定こども園です。

 

幼稚園は、国が示す教育要綱に基づきつつ、園ごとに特徴のある教育を行います([図表1]参照)。

 

[図表1]幼稚園の特徴

 

保育所は、仕事などで家庭で保育ができない保護者に代わって保育を行います([図表2]参照)。

 

保育士の人数や施設が国の基準を満たす認可保育所と、それ以外の認可外保育所があります。

 

[図表2]保育所の特徴

 

幼稚園と保育所の両方の機能を持つのが認定こども園です。

 

3歳から5歳の子どもは保護者が働いている・いないにかかわらず利用できます([図表3]参照)。

 

一体的な運営をする幼保連携型、幼稚園に保育の機能を加えた幼稚園型などのタイプがあります。

 

 

 

 

[図表3]認定こども園の特徴

 

◆小学校入学前の3年間は施設の利用料が無償に

2015年に「子ども・子育て支援新制度」が始まり、新制度のもとで運営する施設は、2019年10月から「3歳から5歳までの幼稚園、保育所などの利用料が無償化」されました([図表4]参照)。

 

「3歳から5歳まで」とは、3歳になった最初の4月または3歳になった時点から小学校に入学する前までを指します。

 

原則、小学校入学前の3年間が無償化の対象です。つまり「3歳になって迎える最初の4月」からの3年間ということです。ただし、幼稚園は「3歳になった日から小学校入学前」までが無償化の対象です。

 

子育て世帯向けの公的支援は、所得に制限があるものがほとんどですが、「3歳から5歳までの幼児教育・保育の無償化」は所得にかかわらず受けられます。

 

条件は、新制度の下で運営する施設を、住んでいる自治体の認定を受けて利用することです。

 

新制度に移行していない幼稚園や認可外保育所を利用する場合や、幼稚園の預かり保育を利用する場合も、月あたり一定額までは利用料が無償です(2024年までの経過措置)。

 

「幼児教育・保育の無償化について『うちの子の場合は?』」(内閣府)より作成
[図表4]子どもが3~5歳の場合「無償化」される施設 「幼児教育・保育の無償化について『うちの子の場合は?』」(内閣府)より作成