体調を崩して休職するも、課金はやめられず…
職場での配置転換を機に、とうとうAさんは体調を崩し、休職を余儀なくされました。しかし、Aさんの課金は続きます。休職に伴い給料が下がり、生活費を下げざるを得ない状況のなかで、ゲームへの支出は止まらなかったのです。
結果、Aさんはゲーム依存となってしまいました。奥様は少しは気が紛れるのならと容認しているとのことですが、実際の課金額は伝えていないとのこと。もしこれまでの課金額を知られてしまったら……。Aさんの顔は曇ります。
さらに、休職をしていることで収入ダウンしていることを考えると、早急に収支バランスの改善が求められます。実際のところ、休職をして給料が減少したことで金銭的に厳しい状況となっており、住宅ローンの支払いも滞りがみられています。このままでは破産を迎えてしまうでしょう。
総務省 家計調査報告によると、2人以上の世帯の消費支出に対する教育娯楽費の割合は9.6%です。生活費が月30万円の場合、教育娯楽費はおよそ3万円という計算です。
Aさんの場合、手取り月収を80万円とし、全額を消費支出に当てたとしても、課金額である教育娯楽費を30万円とした場合の消費支出への割合はおよそ38%になります。
さらに、休職によって給与のダウンを考えると、割合はさらに高くなります。生活スタイルは人によりさまざまで一概にはいえませんが、比率としてはかなりの割合を占めています。収入額における支出額の比率には、おおよその目安があります。それぞれの生活スタイルにより変動はありますが、
居住費(家賃や住宅ローン):手取り月収の20〜30%
食費:手取り月収の15%
貯蓄:手取り月収の10%以上
上記を目安に収支バランスの目標を立てるとよいでしょう。
Aさんにとって、仕事によるストレスを発散させてくれるソーシャルゲームは、心の拠り所となっていました。しかし、いき過ぎた課金によって、生活が立ち行かなくなる事態は避けなければいけません。Aさんには、現状の深刻な収支状況をしっかり認識してもらい、課金によるストレス発散方法を改め、ほかの趣味や習い事を見つけることで気分転換することを説得しました。
依存については、医師によるカウンセリングも踏まえ、奥様へ現状を打ち明け、協力を得ることで徐々に脱却を図るための行動をしていくことと、心身のバランスを整えながら職場への復帰を目指しています。
伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス
代表