ジェネリック医薬品の“安心・安全”を脅かす「例外」
では、ジェネリック医薬品の品質管理は本当に「安心・安全」といえるものなのでしょうか。これは、「ほとんどの場合は『安心・安全』といえるが、例外は存在する」というのがおおむね正しい認識です。
たとえば、近年ジェネリック医薬品の問題が明らかになった事件として「爪水虫治療薬の薬物混入事件」が挙げられます。
これは2020年、ジェネリック医薬品メーカーが製造した爪水虫の治療薬に睡眠導入剤の成分が混入しており、意識障害などの健康被害が150件以上、なかには死亡した例もあったという事件です。厚生労働省が認めた製造手順のダブルチェック、品質検査が行われていなかったことで、ジェネリック医薬品の信用を落とす事態となりました。
近年注目の「オーソライズド・ジェネリック」
こうしたなか、先発医薬品メーカーとほとんど同等の条件で製造される「オーソライズド・ジェネリック(AG;Authorized Generic)」が注目されはじめています。
「オーソライズド・ジェネリック」とは、通常、先発医薬品メーカーから許諾を得て、先発医薬品と原薬や添加物、製造方法などを同一にした後発医薬品のことをいいます。包装も先発医薬品のデザインが踏襲される場合が多く、抵抗感が少ないかもしれません。
通常のジェネリック医薬品でも問題になることは少ないと思いますが、ジェネリック医薬品に不安を覚える方はぜひ「オーソライズド・ジェネリックをお願いします」と聞いてみてください。ジェネリック医薬品についてよく知っている薬剤師さんでしたら、薬局できちんと対応してくれると思います。
まとめ
ジェネリック医薬品は一概に危険ということではありません。しかし、特定の病気にかかっている方や添加剤に過敏な反応を示してしまう方など、一部慎重に検討したほうがいい場ケースが存在します。
ご自身の服用している薬がジェネリック医薬品に切り替わっても問題ないのかどうか、気になる方は主治医の先生や薬局へ確認してみてくださいね。
秋谷 進
東京西徳洲会病院小児医療センター
小児科医