余裕の高齢者でも用心…「老後破産」に陥る典型パターン、3つ
意外と余裕が感じられる日本の高齢者。しかし「老後破産」という結末を迎えてしまう人たちも珍しくはありません。
日本弁護士連合会『2020年破産事件及び個人再生事件記録調査』によると、破産債務者のうち、60代が16.3%、70代以上が9.3%。破産という最悪の結果を迎えてしまう人の4分の1は高齢者です。また全体の6.7%は収入が年金だけという年金生活者です。
破産する人=低収入と考えがちですが、そうとは言い切れません。「老後破産」の典型パターンをみていきましょう。
老後破産の典型パターン① 病気・疾病
破産理由の23.3%。年を重ねれば重ねるほど、病気のリスクは高まります。1回の負担額はそれほどでもないにしろ、数を重ねれば家計を圧迫する金額に。また保険適用外の治療が必要になると、一気に貯蓄を取り崩すことに。また年齢とともに介護リスクも高まり、想定以上の出費となることもあります。
老後破産の典型パターン②住宅ローン
破産理由の7.3%は「住宅購入」です。持ち家率が9割を超える日本の高齢者。賃貸に比べて安心ですが、住んでいる限り、家は時間と共に劣化するもの。住み続けるためには、定期的なメンテナンスが必要になります。大がかりなリフォームが必要となり、貯蓄では対応できなくなるケースも珍しくありません。
老後破産の典型パターン③投資
破産理由の1.5%は「投資(株式、会員権、不動産等)」です。収入の大部分を年金に頼り、貯蓄がどんどん減っていくのを目の当たりにすると、「どうにかしたい」という気になるでしょう。そのとき「ただ貯金しておくのはもったいないですよ」という営業マンのささやきが……。どのようなリスクがあるのかも分からず、ただ言われるがまま投資してしまうケースが、高齢者には多く、貯蓄をあっという間に溶かしてしまうことも。なかには詐欺など、犯罪行為に巻き込まれることも。
綿密なシミュレーションのもと、老後資金を確保していたとしても、想定外の出費までは想定していないもの。また、なぜか上手い話に乗りがちなのは高齢者に多く、「あっという間に貯蓄がすっからかん」というニュースも耳にすることがあるでしょう。
ーー「老後破産」なんて、自分には関係ない
そんなことを思っている人ほど、破産に追い込まれてしまうもの。高齢者ならではのリスクを理解し、対策しておけば、最悪の事態を避けることができます。