いまも増え続けるタワーマンション。資産性と換金性が高く人気ですが、その分アンチも多いようで、およそ8割が「タワマンに住みたくない」と回答。それでも「タワマン暮らし」に憧れるサラリーマンは一定数いるようです。このような“普通”の人が、「都内でタワマン購入」を検討したら、どのような返済プランになるのか、みていきましょう。
年収600万円・42歳のサラリーマン、中古なら「タワマン」買えるかも…「都内・築40年」購入後すぐに訪れる「まさかの結末」 (※写真はイメージです/PIXTA)

どうしてもタワマンに暮らしたい!年収600万円のサラリーマン、挑戦は叶うか?

「年収500~700万円」で8.3%が「タワマンに住んだことがある」と回答。多くが賃貸だと考えられますが、この年収体で「タワマンを購入」は現実的にありえるのでしょうか。

 

厚生労働省『令和4年賃金構造統計調査』によると、サラリーマン(正社員)42.6歳で平均年収は612.2万円。このような人で「東京でタワマンを買ったら」を考えてみましょう。

 

東京郊外。ここも立派な東京都というところに建つ、新築タワマン。ファミリー向けの3LDKで価格は7,000万円。物件価格の2割という一般的な頭金を払い、残りは住宅ローンを活用するとします。

 

返済方式は元利均等、金利は年利0.5%、返済期間は30年とすると、月々の返済額は16万7,546円。返済負担率は33%と、上限の35%ギリギリ。余裕のある返済を考えるなら、返済負担率は20%前後とされているので、相当な負担感だと想像できます。突発的な支出があれば、あっという間に赤字に陥る水準で、「かなり無理して買いました」というのが明らかです。

 

東京の郊外でこのような返済プランですから、都心となると新築は難しいでしょう。

 

――中古ならどうだ!?

 

大手不動産ポータルサイトで探しても、東京都心の場合、中古でも8,500万円~と一般庶民には遠い世界。さらに範囲を広げると東京23区西部に、築40年、3LDK、4,800万円のタワマンを発見。同条件の返済プランであれば、月々の返済額は11万4,888円。返済負担率は22%で、家計的にも心配はありません。

 

――夢のタワマン暮らしだ!

 

といきたいところですが、大きな不安が2つ。

 

サラリーマン「中古タワマン購入」の不安①…大規模修繕

タワマンに限らず、マンションは、15~20年程度で大規模修繕を行います。そのために住民は「修繕積立金」を払っていくわけですが、タワマンの場合は修繕費が高くなる傾向にあるため、その額が通常のマンションの1.5~2倍程度とされています。

 

さらに歴史の浅いタワマン、大規模修繕の工法がまだ確立されていません。そのため想定以上の修繕費になることが多く、実際に多くのタワマンで修繕費の不足が問題視されています。しかも修繕費は、1回目の修繕よりも2回目のほうが高くなる傾向にあります。つまり築40年のタワマンの場合、購入後、すぐに2回目の大規模修繕が発生するも、「修繕費が足りない!」という事態に直面。さらなる修繕費を要求されたり、住民の同意が取れずに工事がストップしてしまったり。購入早々に、まさかの事態に巻き込まれる可能性が高いといえるでしょう。

 

サラリーマン「中古タワマン購入」の不安②…完済時には70代

タワマンに限ったことではありませんが、昨今、マイホームの実現年齢は40歳前後。住宅ローンの返済期間は30年程度ですから、ローンを完済したときには70代というのが一般的です。ローンを返済しながらも、計画的に老後資金を貯められたら問題ありませんが、ローン返済を抱えながら資産形成を進めるのは至難の業。どうしても資産の形成スピードは落ち、老後に不安を残します。

 

 

東京の場合、新築は現実離れした価格。郊外であれば中古の掘り出し物は見つけられるものの、修繕や老後生活に問題が……。一般のサラリーマンが「都内のタワマン暮らし」を叶えるのは、かなり高いハードルのようです。