生活保護申請に二の足を踏む理由…「資産売却」「家族への調査」
――75歳、もう働くことができない、貯蓄もなく、年金も少ない……
そうなると「生活保護」の申請が現実的となるでしょう。年金と生活保護は同時に受給することが可能。前述のとおり、年金が6万円であれば、持ち家であれば5,000円ほど、賃貸であれば住宅扶助基準額を足した6万円ほどの生活保護費が認められると考えられます。
しかし、生活保護に対してはネガティブな印象があり、申請をためらうケースも多く見られます。その理由として多く上がるのが、「資産の売却が必須であること」「身内への調査が行われること」のふたつ。
生活保護を受けるためには“すべて”を売らないといけない
生活保護を受けるためには、資産の売却を求められます。使用していない土地、貴金属やブランド品、クレジットカード、終身保険等の貯蓄性のある生命保険は売却を求められるでしょう。資産を売却してもなお暮らしていけないと判断されれば、申請は承認されます。
「生活保護を申請すると、資産のすべてを手放さないといけない」と二の足を踏むケースもありますが、所有が認められている資産もあります。たとえば「10万円程度の預金」や「住宅ローンが払い終わった自宅」「生活家電」「必要家具」「スマートフォンやパソコンなどのIT機器」「自転車」「車椅子などの介護用品」など。個々の生活に合わせて判断され、日常生活に必要とされる資産を売る必要はありません。
身内に金持ちがいると、生活保護は受けられない?
「生活保護なんて受けずに身内に頼れ」などという批判も。確かに親族から支援が受けられる場合は、受給対象にはなりません。ただ、身内であっても扶養の意思がなければ、どんなに親族が富裕層であっても生活保護を受けることができます。
生活保護を申請すると本人の戸籍謄本を元に、「両親」「別居中の配偶者」「息子・娘」「兄弟姉妹」「祖父母」「孫」「叔父叔・母」「甥姪」と、成人した親族に扶養調査書が郵送されます。期日までに返信がなければ「扶養の意思はない」と判断されます。
ーー金持ちの家族が生活保護を受けるなんておかしい。徹底的に調査すべし
そのような批判も聞かれますが、家族の問題はデリケートなもの。DVや虐待などの問題を抱えている場合もあり、徹底的に調査することが悲劇を招く場合もあります。原則的に「連絡してほしくない」という事情ありの場合は、しっかりと考慮してくれるので安心です。