株価の割安さを測る指標のひとつに、「配当利回り」があります。配当面から見て株価が割安かどうかを判断することができ、よく用いられる指標です。ただし、単純に利回りだけをみるのは危険だと、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏はいいます。配当利回りが高いからといって、安易に投資してはいけないワケをみていきましょう。
「配当利回りが高いから」と銘柄を選んで大失敗…投資初心者が引っかかる「高利回り株」のワナ【投資のプロが警告】 (※写真はイメージです/PIXTA)

これまでの配当実績をチェック…減配が少なく、増配が多いか

また、減配の発表は株価を下げ、増配の発表は株価を上げる、という傾向があります。

 

ですから、減配と増配の履歴も調べておくとよいでしょう。

 

増配しやすい会社でしたら、株式購入時の予想よりも配当が増え、さらに株価も上がる、ということが起こり得ます。一方で減配しやすい会社でしたら、その逆の現象が起こり得ます。

 

ちなみに、減配はせず配当維持か増配のみの「累進配当」を明示している会社や、減配してもその下限額を明示している会社もありますので、そういった会社は配当面から見て安心できる会社といえるかもしれません。

 

配当以外で株主の期待に応える方法もある

また、会社には、配当以外でも株主の期待に応える方法があります。

 

それは、自社株買いと、配当に資金を回さずその分で良い投資をして業績をさらに伸ばすことです。前者は既存株主の持つ株式の価値が濃縮されますし、後者は株価の上昇が期待できます。

 

「株主にどの程度配当を支払うか」はその会社の戦略の一つであり、仮に配当利回りが低い、配当性向が低い会社であっても、株主に十分な利益を与えてくれる会社もあります。そういった視点を持つこともまた、投資家には必要ではないでしょうか。

 

配当の本質を知り、本当に配当面から見て割安かを考えよう

配当利回りとは、1株配当が現在株価の何%に当たるかを示す値です。

 

しかし、継続的に配当を出すためには、継続的に利益を出していることと、配当性向が高すぎないことが重要となります。たとえ現時点で配当利回りが高い会社であっても、その点には注意が必要でしょう。

 

また、減配と増配の履歴も調べておくとよいでしょう。

 

なお、仮に配当利回りが低い会社、配当性向が低い会社であっても、自社株買いや優れた投資による業績と株価向上によって、株主に十分な利益を与えてくれる会社もあります。

 

 

株式会社ソーシャルインベストメント 取締役CTO

川合 一啓