PERは「予想値」が一般的
PERは、以上の式によって算出されます。現在株価が、1株当たり純利益{=当期純利益÷(発行済み株式総数-自己株式)}の何倍であるかを示す値です。
たとえば株価が1,000円で、1株当たり純利益が100円ならば、PERは10倍となります。
一般的に、15倍前後ならば普通であり、20倍を超えるようなら割高、10倍を切るようなら割安ともいわれますが、その会社の成長性に応じてバラツキのある値でもあります。
成長著しく純利益が増えることが予想される会社ならば、その増収分も株価に織り込まれ、PERは高くなりがちです。反対に、今後の純利益の成長が見込めない会社ならば、PERが低い状態で放置されがちです。
さて、このPERを見る際にまず注意すべきなのが、1株当たり純利益には「予想値」が用いられることが一般的だ、ということです。
したがって、予想が修正されるたびに、PERも変動してしまいます。
そして、予想値は決して当てになるものではありません。もちろん、純利益が当初予想の10倍や100倍違うということはなかなかありませんが、数十パーセント程度違うことならば、珍しくありません。ですからPERは、必ずしも実際の収益力に対する株価の割安さを示すわけではない、ともいえるのです。
会社の業績は毎年変化する
さらに、会社の業績というのは毎年変化するものでもあります。
たとえば、「株価1,000円÷1株当たり純利益100円=PER10倍」である株を買い、その期は1株あたり純利益が100円前後だったとしても、翌期に1株あたり純利益が50円になり、購入時株価で計算するとPERが20倍になってしまった、ということもあります。そしてそれが割高だと市場が判断すれば、PERと同時に株価も下がってしまうのです。
同じく株価の割安さを測る指標としてよく用いられる値にPBR(株価純資産倍率=株価÷1株当たり純資産=現在株価が1株当たり純資産の何倍かを示す)がありますが、そちらに比べて大きく変動しやすいのが、PERです。
その会社の収益面から見て株価の割安さを測るというPERの観点は、決しておかしなものではありません。しかし、「収益は予想しづらい」という欠点もあるため、注意が必要です。
なお、その欠点を補うために、できるだけ長い期間の過去における1株当たり純利益の平均値を出し、その平均値を現在の株価と比較してみるという方法もあります。これにより、その会社の長期的な収益力と、平均値に対して現在の株価がどの程度割安かを判断できるのではないでしょうか。