「配当利回り」を正しく理解できている人は意外と少ない
配当利回りは、以上の式によって算出されます。1株配当が、現在株価の何%に当たるかを示す値です。
たとえば、1株配当が30円で、株価が1,000円ならば、配当利回りは3%となります。同じく1株配当が30円で、株価が800円の場合は、配当利回りは3.75%になります。そして同じく1株配当が30円で、株価が1,200円の場合、配当利回りは2.5%になります。
配当利回りは、高いほど株価が割安といえます。一方、PERやPBRは低いほど株価が割安といえる値ですので、その点は異なります。
配当利回りの注目点…利益が出ているか、配当性向が高すぎないか
しかし、いくら配当利回りが高い銘柄であっても、注意すべき点があります。
そこでまず、配当の元手となるお金がどこから出てくるのか、ということを考えてみましょう。
それはもちろん、その会社の利益です。配当金とは、会社の所有権の一部を持つ株主への、利益の「分け前」という性質を持っているのです。
したがって、利益がちゃんと出ていない会社は、配当を出すことができません。まずはそこに、注意すべきでしょう。
たとえ赤字であっても、資産を切り崩したり借入で資金調達をしたりして、一時的に配当を出すことはできます。しかし、継続的に配当を出すためには、やはり安定して利益を出すことが欠かせません。
つまり、たとえ現時点で配当利回りが高い会社であっても、これまで継続的に利益が出ているかどうかをチェックすることも重要なのです。
そして、当期純利益のうちどの程度を配当金の支払いに向けたかを示す「配当性向」という値にも注意が必要です。
配当性向が高すぎる会社は、利益のほとんどを配当金に回しているということになります。しかし、そのように余裕のない配当の出し方をしている場合は、今後もそれを継続できるかどうかに疑問符がつきます。一方、配当性向が低すぎるのもまた要注意で、その場合は株主軽視の姿勢が垣間見えているのかもしれません。いずれにせよ、配当性向にも注意が必要なのです。
なお、一般的に配当利回りは、会社予想値による1株配当金額で算出されます。そして、業績とともに予想が修正され、結果的に配当が増える場合も減る場合もあり得ますので、その点からも、利益がちゃんと出ている会社かどうかには注意が必要だといえるでしょう。