老後の生活を支える公的年金。標準的な専業主婦のサラリーマン世帯であれば、月22万円ほど受給されるとか。一方、共働き夫婦の場合を考えてみると、手にできるのは驚きの年金額。しかし、それで老後も安泰かといえば、そうとは言い切れないようです。みていきましょう。
年金月39万円・65歳の勝ち組夫婦でも、10年後には「老後崩壊」の危機「これで、どう生きていけと」 (※写真はイメージです/PIXTA)

目標2%上昇の物価高…実現したら10年後はどうなる?

主な収入は年金のみという高齢者が過半数という老後。年金を多くもらえるにこしたことはありません。

 

しかし前述のように、実質的な年金の価値が目減り。さらに家庭の電気代は、6月から北海道で21%、東北で24%、東電で14%、北陸で42%、中国で29%、四国で25%、沖縄で38%と値上がりとなることが決まり、ますます年金世代の生活は厳しくなっていくことが予想されます。

 

電気に限らず、今後の物価高は収入手段が限られる高齢者にとって脅威です。よくいわれる「消費者物価の前年比上昇率2%目標」。実際にこれが実現したら、どうなるのでしょうか。

 

総務省『家計調査』によると、65歳以上・無職の夫婦の1ヵ月の生活費は、平均23万円程度。前年比2%の物価高が続くと、単純計算、5年後には25.4万円、10年後には28.0万円、20年後には34.2万円になります。年金受給が始まったときに23万円程度だった生活費が、75歳の時点でプラス5万円、85歳の時点でプラス10万円強、上乗せされるということです。

 

物価高に対して、年金額もあがっていけば何ら問題ありませんが、今後、少子高齢化が進み、賃金の上昇もそれほど見込めないなか、現実的ではないかもしれません。物価高の前には、前述の勝ち組夫婦であっても、「これで、どう生きていけと……」と頭を抱えてしまうことになるでしょう。

 

現役世代は、この物価高も考慮して、各々資産形成を進めることが重要。事前にできることは色々とありますが、高齢者ができることといえば、節約、そして健康であれば再び働くこと。くれぐれも怪しい儲け話には耳を傾けないよう、気をつけたいものです。