「損少利大」という言葉を聞いたことがあるトレーダーは多いのではないでしょうか。文字どおり「トレードで勝つためには損失を限りなく少なくして利益を最大化する」という意味です。しかし、理論的には正しい「損少利大」の思考法ですが、FXのプロはトレードにおいて、この理論よりも重視しているポイントがあると、株式会社ソーシャルインベストメントの清水一喜氏はいいます。どのようなことでしょうか、みていきます。
FXのプロトレーダーが「理論」よりも重視している「意外なポイント」 ※画像はイメージです/PIXTA

トレードの基本「損少利大」とは?

まずは、トレードの基本である「損少利大」を解説します。トレードを行っていくうえで、損切りを行うことは必須です。正しい損切りを行えば利益を上げていくことは可能ですが、利益以上の額の損切りを多くしてしまうと思うように資金を増やすことはできません。

 

正しい損切りを行うための重要な考え方が「損少利大」の考え方です。限りなく小さい範囲で損切りをして、利益を最大限に延ばしてから利益確定をするという理論です。「損少利大」を実践するだけで、理論的には為替の世界で成功することができます。そのため、損少利大の思考法は、トレードの世界で長く親しまれています。

 

一見、簡単そうに見えるトレード方法ですが、いざ実際のトレードで応用しようとすると、思っていた以上に難しいことがわかるでしょう。なぜ難しく感じてしまうのかを考えていきましょう。

 

「損少利大」の思考によるトレードがプロでも難しいワケ

「損少利大」の思考法は机上の空論であるといわれています。その理由は、実際のチャートで「損少利大論」の根本となる理想的な相場の流れが生じることが限りなく少ないからです。

 

※画像はイメージです/PIXTA
※画像はイメージです/PIXTA

 

小さく負けて大きく勝つためには、ある程度大きなトレンドを掴む必要があります。確かにレンジ相場でも小さく負けることは可能ですが、値幅に限りがあるため、想定される損失に対する期待できる利益幅も小さくなってしまいます。レンジ相場がほとんどといわれる為替の世界で、トレンド局面のみを狙うのは至難の業です。

 

利益が最大化したところで利益確定をするということは、シンプルでありながら、実はかなり難易度の高い技法なのです。プロトレーダーであってもトレンド相場の天井や底を予測することはできません。損切りのラインは事前に決められるが、利益確定のタイミングは相場の流れ次第になってしまうという点がトレーダーたちを苦しめています。

 

以上の点から、プロトレーダーでも「損少利大」の思考法を実践することは難しく、「損少利大」は机上の空論であるのではないかと推測できます。