人口が多く高校大学は受験戦争、就職時は不景気で就職難民……「谷間の世代」とすら揶揄される就職氷河期世代。44歳のNさんも、こうした時代の煽りを受け、非正規で生計を立てています。Nさんはこのまま“死ぬまで”働かなければならないのでしょうか。株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也氏が、Nさんの厳しい現状を解説するとともに、将来の資産形成について助言します。
手取り月17万円、44歳・非正規「死ぬまで労働」確定か…長生きが怖くなる“年金受給額”に「国が悪い」と恨み節【FPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「国が悪い」と嘆く前に…「国が用意した」制度を活用

現在、Nさんは老後に向けた備えができていない状態です。特に贅沢をしているわけでもありませんが、都市部で賃貸に住んでいて家賃も高く生活費に余裕はありません。家計の見直しにより節約をするとしても限界があります。

 

幸い、Nさんには実家があり、両親も健在です。当初は地方の実家へ戻りたくないと渋られていましたが、背に腹はかえられません。実家に戻れば家賃や水道光熱費などの負担が軽減できるので収入から貯蓄へまわせるお金が増えます。

 

実家の周辺では働き手が不足しており、地方自治体の支援もあり手取りは変わらず正社員の職に就くことができそうです。

 

正社員になれば厚生年金に加入できるのでNさんの年金受給額も増えることになります。ただ、年金だけではやはり不安なので、「いまさら遅いのでは?」と迷っていましたが、【iDeCo】と【NISA】をお勧めしました。

 

少額ずつではありますが、44歳のNさんが老後を迎えるまでにはまだ10年以上あります。実家へ戻ったことによって浮いたお金は老後のために積み立てていただくことにしました。

 

「余ったお金をすべて老後のために積み立てるのは、なにかあったときに不安です」というNさん。確かに、すべての資金をiDeCoで積み立てると途中で解約できないため心配ですが、NISAであれば、なにか不測の事態が発生した場合、いつでも解約することができます。

 

これで老後の資金に少しゆとりをもてますが、将来に向けて積み立てをするだけでは現役のあいだに楽しみがないので、ふるさと納税をお勧めしました。

 

ふるさと納税は、自治体へ寄付することによって実質2,000円の負担で果物やお肉、お酒といったその土地の特産品などを返礼品として受け取ることができます。

 

自分のお金を応援したい自治体や事業を選んで寄付できるので、Nさんは「ふるさと納税の返礼品を両親と一緒に楽しみたい」と嬉しそうに手続きをしていました。

 

現状のままではいけないとは思いつつも「なにをすればいいかわからないまま日々をなんとなく過ごしている」という人は、Nさんだけではないと思います。まずは情報収集をしてみて、できそうなことからはじめてみましょう。

 

「自分では判断が難しい」と感じた場合にはひとりで悩まず、身近な人やお金の専門家であるファイナンシャルプランナーに相談してみるのもよいでしょう。

 

 

武田 拓也

株式会社FAMORE

代表取締役