年収が同じ2人の50歳会社員…それぞれの年金見込額
学生時代からの同級生であるKさん、Mさんは大手企業に同時期に入社した50歳のエリート会社員です。同じ時期に昇進等し、久しぶりに会って飲みに行くことになりました。なにかと共通点が多い2人は、偶然にも誕生日月まで同じ4月生まれです。話題は先月届いたねんきん定期便の話に……。
2人とも年収が同じことから、当然に年金額も同じくらいだろうと思っていた矢先、Mさんにとって衝撃的な事実が。年収1,000万円で年金加入期間27年(320月)のKさんとMさんの報酬は次のとおりです。
Kさんは月70万円の給与と160万円の賞与、Mさんは月50万円の給与と400万円の賞与、2人とも年収は1,000万円ですが、高齢期に受け取る年金はどうなるのでしょうか?
賞与は1回150万円が上限となっているため、2人とも年金額への反映は同じになります。しかしながら、平均報酬月額から計算した年金額は大きく変わってきます。
賞与を除いた年金額(前段Bで計算)
Kさん:65万円×5.481/1,000×320月=1,140,048円
Mさん:50万円×5.481/1,000×320月=876,960円
現時点ですでに年額約26万円の差が生じています。Mさんは驚愕しました「オレとお前でなにが違うんだ!? なにかの間違いでは……」。
このまま年金を受給する年齢になると…
2人が現状のまま65歳を迎えた場合、受け取る年額はどのくらいの差が生じてくるのでしょうか。厚生年金保険期間を480月で計算します。
Kさん:65万円×5.481/1,000×480月=1,710,072円
Mさん:50万円×5.481/1,000×480月=1,315,440円
※賞与は2人とも同額のため計算には加味していません。
同じ年収でも給与と賞与の受け取り方によって年金額に約40万円の差が生じてくるのがわかります。Mさんにとっては衝撃的な結果となりました。
自助努力でカバーするしかない
年収が同じKさん、Mさんですが、高齢期に受け取る年金額は大きな開きが出てしまいます。Mさんは月々の給与は50万円ですが、日常生活では不自由なかったこと、年収では不満がなかったため、高齢期の年金までは気にしていませんでした。
1回の賞与が多く支給されるMさんは、賞与を日常生活とは別に臨時的出費や将来のために貯蓄してきました。そのため不満はありませんが、公的年金は働けなくなった時の備えで終身年金であることを考えると、人生100時代といわれる現在では、安心できないと痛感することとなりました。
三藤 桂子
社会保険労務士法人エニシアFP
代表