通勤などで毎日都心に通っているうちに「いつかあのタワーマンションに住みたい」と思うようになり、夢を膨らませているというビジネスパーソンもいることでしょう。しかし、物件価格のみに囚われて勢いで購入に踏み切るのは注意が必要だと、FP Office株式会社の奥惠美FPはいいます。世帯年収1,600万円のM夫妻の事例をもとに「タワマン暮らし」のリスクと購入検討時のポイントについてみていきましょう。
世帯年収1,600万円の38歳パワーカップル…“ノリと勢い”で購入した「1億円・都心タワマン」に大後悔のワケ【FPが注意】 (※写真はイメージです/PIXTA)

落とし穴2.タワーマンションは「資産価値が下がりやすい」

タワーマンションは一般的に、「資産価値が下がりやすい」といわれています。広大な土地に建てられているものであっても入居戸数が多く、価値の落ちにくい土地の持分がごくわずかになってしまうためです。

 

家そのものよりも土地代の比率が高い一戸建てと比較すると、タワーマンションはその70~80%が建物代といわれています。一般的に、長い目で見ても土地の資産価値というのはほとんど下がりませんが、建物はどんどん古くなっていきますから、タワーマンションは「資産価値を維持しにくい」といえるでしょう。

 

そのため、タワーマンションの購入を検討する際は立地や共用施設、周辺環境なども踏まえ、30年後、40年後も多くの人が住みたいと思えるような、長い目で見て価値がありそうなマンションを選ぶことがポイントです。

タワマン暮らしにはもちろんメリットも!慎重に検討を

しかし、タワマン暮らしはデメリットだけではありません。いまでも多くの人々にとって憧れの住まいであるタワーマンションは、下記のように多くのメリットがあります。

 

・眺望がいい

・高いステータス性

・周辺環境の利便性が高い

・セキュリティ性が高い

・耐震性・防音性に優れる

・建物内に便利な施設が充実

・コンシェルジュサービスが便利

・上層階は虫が出にくい

 

勢いで買ってしまうのではなく、メリットと先述したリスク双方を考慮したうえで、タワマン暮らしを検討するといいでしょう。

 

また、実際にタワーマンションに住んでいる方のアンケートによると、下記のポイントを押さえて購入を決断した方は後悔が少ないようです。

 

・物件を細かくチェック・比較した
・持ち家と賃貸を徹底的に比較し、どちらが自分にフィットしているか考え抜いた
・30~50年先の修繕のことまで逆算して物件を選んだ

 

M夫妻は、FPに相談後、自分たちの予想を超えて出費がかかることがわかり大後悔。早々に転居を検討することにしたそうです。

 

夫婦共働きで高収入であっても、自分たちの老後や子育てのことを考えると、住まいにかける費用には限度があります。物件購入を考える際は、事前にライフプランシミュレーションをしたり、FPをはじめとする専門家に資産形成のアドバイスを受けるなど、長期的な視点で無理のない選択をすることをおすすめします。

 

 

奥 惠美

FP Office株式会社

ファイナンシャルプランナー