物価高騰は止まらず、でも給与は上がらず。こづかいは減らされて、「もう、やってらんない!」という会社員の声が聞こえてきますが、同じよう現役を引退した高齢者からも悲鳴に近い声が聞こえてきます。みていきましょう。
年金月14万円だが…「値引きシール」が貼られた惣菜に群がる「日本の高齢者」長生きはもはや苦行 (※写真はイメージです/PIXTA)

年金増額も実質減額…もう「年金」には頼れない

厚生労働省によると、厚生年金受給者の平均年金額は月額14万5,665円。国民年金受給者では月額5万6,479円です。一方で、ゆうちょ財団『第5回(2022年)家計と貯蓄に関する調査』で、65歳以上の高齢者が世帯支出を公的年金でどれほどまかなえるか尋ねたところ、100%を超えた、つまり「年金だけで暮らすことができる」は2割ほど。一方で100%未満、つまり「年金だけでは暮らせない」は6割を超えます。

 

【公的年金でまかなえる高齢期(65歳以上)の家計支出の割合】

・0%:0.6%

・~10%未満:0.7%

・~50%未満:10.2%

・~70%未満:22.6%

・~100%未満:30.2%

・100%:14.1%

・~120%未満:0.9%

・~150%未満:5.3%

 

出所:ゆうちょ財団『第5回(2022年)家計と貯蓄に関する調査』より

※無回答が14.7%いるため、上記足しても100%にはならない

 

厚生労働省によると、現在、日本人の平均寿命は男性が81.49歳、女性が87.60歳。今後も伸び続けるとされ、2050年には男性84.02歳、女性90.40歳と、3歳程度伸長すると推計されています。これはあくまでも平均値。「人生100年時代」と聞いて、「なんて大げさな」と思っているかもしれませんが、現実的に「100歳までの備え」を必要とする時代が訪れようとしています。

 

一方で、今後少子高齢化がさらに進めば、これまで通りの水準の年金を受け取ることは不可能なのは、誰が考えても明らか。国の推計では、2040年代には現行の年金水準の8割ほどに減少するとされています。

 

これはあくまでも推計値。先日、日本の少子化が予想よりも10年ほど早く進行していると大きく報道されました。さまざま統計をもとにした“推計”は、大きく外れることもあると改めて実感したことでしょう。そう考えると、年金2割減よりも悪い事態を想定しておいたほうが良いかもしれません。

 

本来、健康で長生きすることは、多くの人が望むこと。ただ物価高騰、でも年金は減額、スーパーで値引きシールが貼られるのを待つ老後、なんともやるせない日々がいつまでも続くとなると、「長生きは苦行でしかない」と誰かがそう、つぶやいていましたが、まさにその通り。

 

最悪の事態が現実のものになろうとしていますが、若ければ若いほど備える時間はあります。できる範囲で資産形成をスタートすることが、老後を苦行ではなくする、唯一の方法です。