1年で400万円以上の給与差が生じても「あえて非正規社員を希望」
正社員と非正規社員。たびたびその給与格差が問題視されています。実際にどれほどの給与差が生じるのか知らなくても「相当の差」というイメージは多くの人がもっているでしょう。
大卒の男性で正社員と非正規社員でどれほどの給与差がつくか、厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』の平均値で考えてみましょう。仮にストレートで大学を卒業したあと正社員はずっと正社員で、非正規社員はずっと非正規社員で60歳まで働いたとしたら、最も年収差が生じるのは50代前半で、年間443万円の給与差。さらに生涯年収では1億0,936万円もの差が生じます。
――まさか、億を超えるとは
しかし誰もが正社員を目指すわけではありません。納得のうえで「あえて非正規」という人も珍しくはありません。厚生労働省『令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査』で「なぜ非正規社員を選んだのか」を聞いたところ、最も多い理由が「自分の都合のよい時間に働けるから」で36.1%。「家庭事情との両立」「家計の補助」「専門的資格の活用」「短い通勤時間」が上位を占めています。
【非正規社員に聞いた「なぜ非正規社員」を選んだのか】
「自分の都合のよい時間に働けるから」36.1%
「家庭の事情(家事・育児・介護等)と両立しやすいから」29.2%
「家計の補助、学費等を得たいから」27.5%
「専門的な資格・技能を活かせるから」23.5%
「通勤時間が短いから」23.1%
「勤務時間や労働日数が短いから」19.9%
「自分で自由に使えるお金を得たいから」16.2%
「正社員として働ける会社がなかったから」12.8%
「より収入の多い仕事に従事したかったから」12.2%
「簡単な仕事で責任も少ないから」9.5%
「他の活動(趣味・学習等)と両立しやすいから」9.1%
「就業調整をしたいから」5.3%
「体力的に正社員として働けなかったから」4.4%
「組織に縛られたくなかったから」3.7%
出所:厚生労働省『令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査』より
ただ、やはり今後「正社員になりたい」と考えている非正規社員は26.7%と4人に1人の水準。雇用形態別にみると、「契約社員」が最も多く45.7%。続いて「派遣社員」が42%と続きます。